「男女間モテ格差」をzero-inflated model で考える

こんな話を見つけた。


元ネタ、データはこちらにある。
note.com

データとしては、20代の男女各200人からアンケート調査によって、過去に告白したことがあるか、されたことがあるかその回数を聞いている。
ここで、

「過去告白した回数」よりも、「過去告白された回数」において大きな差があることが確認できる。特に「過去告白された回数」が「0回」における男女差が大きく、男性は51.5%と半数以上が告白されたことがないのに対して、女性は25.0%にとどまる。以上より分布の点から「男女間モテ格差」があることが確認できた。

とあり、
「過去告白された回数」が「0回」という非モテ(筆者注:ワイが言ってるだけで引用元ではない)がおおよそ男女で50%:25% という差がある。
この上で、

平均値をみると、「過去告白した回数」は男性1.66回、女性1.26回と男性の方が多い。一方、「過去告白された回数」は男性1.60回、女性3.03回と、女性の方が倍近く多い。平均値の点からも「男女間モテ格差」があることが確認できる。

とあるが、告白されるのは少なくとも非モテではない集団なので、告白される回数が0回の非モテ集団の告白される回数を足しあわせてそのまま集団の平均として出すのは、非モテでない人たちの告白される回数を過小評価する。
というわけで、非モテは告白されることはないので、この非モテ集団がアンケート調査内にどれだけいたかを推定して、非モテでない集団が通常どれくらい告白されるのかをきちんと推定してみたい。

となればzero-inflated model である。

zero-inflated model のstan コードはこちらにあるので、丸々パクってやってみる。
mc-stan.org
stan コード中の\theta非モテ集団の割合(二項分布のパラメータ)で、\lambda非モテでない集団が平均して告白される回数(ポアソン分布のパラメータ)である。
引用元には告白する回数、される回数が男女別で割合が載っているが、サンプルサイズN=200, 告白する/される回数の水準がいくつか結合されているので、割合を参考に適当にリサンプリングして、引用元の平均値±0.01 に収まるシミュレーションデータをstan に投げる。ここで、告白10回以上は適当な予備実験の結果、最大15回ということにしておいた。target 記法で頑張ればここらへんはなんとかできそうな気がする。
がんばりたい人はこちらを読もう。

StanとRでベイズ統計モデリング (Wonderful R)

StanとRでベイズ統計モデリング (Wonderful R)

リサンプリングしたデータはこのような感じになる。なお、回数を覚えていないというのは面倒なので除いた。

f:id:MikuHatsune:20200103195547p:plain
リサンプリングで作成したシミュレーションデータ

・告白した回数について
一度も告白したことのない男性は\theta=0.35、女性は\theta=0.42 (p=0.126) だった。
告白した回数については男性は\lambda=2.57回、女性は\lambda=2.17回 (p=0.04) だった。
告白をすることに関して非モテ(消極的?)は男女間で差はなさそうだが、非モテでない集団では男性のほうが告白回数は多いようである。ただし0.5回の多さが重大な差なのかは不明。

・告白された回数について
一度も告白されたことのない男性は\theta=0.5、女性は\theta=0.25 (p=0) だった。
告白された回数については男性は\lambda=3.19回、女性は\lambda=4.02回 (p=0.00083) だった。
告白されたことのない男性は女性にくらべてすごい多いようである。そもそも50%ってアンケート調査の半分だしこれってどうなん? 感はあるが、残りの半分100人でも推定はうまくいっている。
告白された回数については、ほぼ1回くらいの差がついた。

現実には4回告白される人が平均的に多い、とはちょっと考えにくいような気もするけれども、アンケート調査結果的には3-5回くらいが多いようなのでまあそうなのだろう。
ヤリチン理論的に、何十回も告白されるような最強のモテ男女が存在しそうな気がするが、200人のサンプルサイズでは補足できなかったのか。。。

f:id:MikuHatsune:20200103195619p:plain
\theta\lambda

N <- 200 # サンプルサイズ

k <- list(c(0, 0), 1, c(2, 3), c(4, 5), 6:9, c(10:15))
u1 <- c(38.5, 16.5, 28.5, 9, 1.5, 2)/100 # 男性、告白した
u2 <- c(47.5, 18, 22, 8.5, 1.5, 0)/100  # 女性、告白した
p1 <- c(51.5, 14, 20, 6.5, 2, 5)/100 # 男性、告白された
p2 <- c(25, 8, 33.5, 13.5, 10, 6.5)/100 # 女性、告白された
up <- list(u1, u2, p1, p2)

me <- c(1.66, 1.26, 1.60, 3.03) # zero-inflated を考慮しない平均値
lm <- mapply(function(z) c(-1, 1)/100 + z, me, SIMPLIFY=FALSE)

# 分布をもとにリサンプリングでシミュレーションデータを作成する
# 10回以上の告白は、最大15として、適当にsample される確率に傾斜をかける
sim <- function(p){
  unlist(mapply(sample, k, size=p*N, replace=TRUE, prob=mapply(function(z) order(z, decreasing=TRUE)/(length(z)*(length(z)+1)/2), k)))
}

# iter 回データセットを作って
# zero-inflated model を考慮しない平均値に近いデータをsize 個採用することにする(計算時間の都合)
iter <- 15000
size <- 50
tmp <- mapply(function(z) replicate(iter, sim(z)), up)
tmp_m <- lapply(tmp, colMeans)
tmpTF <- mapply(function(z1, z2) z1[1] < z2 & z2 < z1[2], lm, tmp_m, SIMPLIFY=FALSE)
tmp <- mapply(function(z1, z2) z1[, z2], tmp, tmpTF)
dat <- mapply(function(z) z[, sample(ncol(z), size=size)], tmp, SIMPLIFY=FALSE)

# シミュレーションデータの例
cols <- c("blue", "red")
bar1 <- rbind(table(factor(dat[[1]][,1], 0:15)), table(factor(dat[[2]][,1], 0:15)))
bar2 <- rbind(table(factor(dat[[3]][,1], 0:15)), table(factor(dat[[4]][,1], 0:15)))


mf <- c("男性", "女性")
koku <- c("告白した回数", "告白された回数")
b0 <- list(bar1/rowSums(bar1), bar2/rowSums(bar2))
yl <- c(0, 0.6)
par(mfrow=c(2, 1), cex.main=2, las=1)
for(i in seq(b0)){
b <- barplot(b0[[i]], beside=TRUE, col=cols, ylab="割合", ylim=yl, main=koku[i])
for(j in seq(ncol(b))){
  for(l in 1:2){
    text(b[l, j], b0[[i]][l, j], round(b0[[i]][l, j], 2), srt=90, adj=c(-0.2, NA), xpd=TRUE)
  }
}
legend("topright", legend=mf, col=cols, pch=15, cex=2)
}

# 推定する
library(rstan)
rstan_options(auto_write=TRUE)
options(mc.cores=parallel::detectCores())

code <- "
data {
  int<lower=0> N;
  int<lower=0> y[N];
}
parameters {
  real<lower=0, upper=1> theta;
  real<lower=0> lambda;
}
model {
  for (n in 1:N) {
    if (y[n] == 0)
      target += log_sum_exp(bernoulli_lpmf(1 | theta),
                            bernoulli_lpmf(0 | theta)
                              + poisson_lpmf(y[n] | lambda));
    else
      target += bernoulli_lpmf(0 | theta)
                  + poisson_lpmf(y[n] | lambda);
  }
}
"

m0 <- stan_model(model_code=code)
fitres <- replicate(length(dat), vector("list", size), simplify=FALSE)
for(i in seq(fitres)){
  for(j in seq(size)){
    hoge <- dat[[i]][, j]
    standata <- list(N=length(hoge), y=hoge)
    fitres[[i]][[j]] <- sampling(m0, standata, iter=800, warmup=200)
  }
}

# theta とlambda だけとってくる
x <- lapply(fitres, lapply, extract, pars=c("theta", "lambda"))
X <- lapply(lapply(x, lapply, do.call, what=rbind), do.call, what=cbind)
est <- as.data.frame(t(sapply(X, apply, 1, median)))

# 男女の比較
mean(X[[1]][1,] > X[[2]][1,]) # 告白する、theta
mean(X[[1]][2,] > X[[2]][2,]) # 告白する、lambda
mean(X[[3]][1,] > X[[4]][1,]) # 告白される、theta
mean(X[[3]][2,] > X[[4]][2,]) # 告白される、lambda

# 密度分布をかく
library(MASS)
kd <- vector("list", length(fitres))
for(i in seq(kd)){
  x0 <- X[[i]][1,]
  y0 <- X[[i]][2,]
  kd[[i]] <- kde2d(x0, y0, c(bandwidth.nrd(x0), bandwidth.nrd(y0)), n=100)
}

xl <- c(0, 1)
yl <- c(0, 4.5)
cols <- c("blue", "red", "skyblue", "orange")
led <- c("男性・告白した回数", "女性・告白した回数", "男性・告白された回数", "女性・告白された回数")
sub <- sapply(seq(led), function(x) as.expression(substitute(z1~"("*theta==z2*","~lambda==z3*")", list(z1=led[x], z2=round(est$theta[x], 2), z3=round(est$lambda[x], 2)))))
par(mar=c(5, 5, 2, 2), cex.lab=2, cex.axis=1.5, las=1)
plot(0, type="n", xlim=xl, ylim=yl, xlab=substitute(theta~":非モテの割合"), ylab=substitute(lambda~":告白した / された回数"))
for(i in seq(kd)){
  points(X[[i]][1,], X[[i]][2,], pch=16, cex=0.5, col=grey(0.8))
}
for(i in seq(kd)){
  contour(kd[[i]], add=TRUE, col=cols[i], lwd=3)
}
legend("bottomright", legend=sub, col=cols, pch=15, cex=2.1)

legend に数式をいれるのに苦労した。
stackoverflow.com

Essentials of Trauma Anethesia

読んだ。

Essentials of Trauma Anesthesia

Essentials of Trauma Anesthesia

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Cambridge University Press
  • 発売日: 2017/11/09
  • メディア: ペーパーバック
COI:自費で購入。
本当はこちらの日本語訳を読もうと思ったけど、出版時に原著が3000円くらいだったようなので英語を読むハメになった。
外傷麻酔エッセンシャル 重症外傷の蘇生と周術期戦略

外傷麻酔エッセンシャル 重症外傷の蘇生と周術期戦略

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2019/06/04
  • メディア: 単行本
 
切断肢や頭・腹部がグチャグチャ、みたいなやばい外傷は来ないことになっているが、1年に1回くらいは交通事故で実は腸管穿孔してました、とか、開放骨折しているのでデブリや創外固定が必要です、みたいな症例には出くわす、くらいのテンション。
前半は外傷や熱傷時の生理や一般的な麻酔管理、後半は頭頸部、腹部、四肢の外傷、小児、高齢者、妊婦の外傷といった特殊症例に分かれている。
普通の麻酔に通ずる話が多かったので、外傷といっても特別になにか必要というわけでもなかった。極論すれば出血時に輸血が届くか、凝固系が破綻しないように頑張れるか、が鍵のようである。

書店で日本語版を立ち読みした印象としては、日本語版は買ってもよさそうではある。英語版はまあ普通の英語の本、という感じだった。

経食道心エコー

JBPOTという経食道心エコーの認定試験というのに合格した。
いままで受けてきた試験のなかでも最高に(えナニコレ…????)みたいな設問ばかりで手応えゼロだった。
ちなみに使ってきたテキストの大半は試験中 役 に 立 た な か っ た 。

とりあえずこれ(中古でCDなかったけど3000円)

解きながらレベルアップ経食道心エコー問題集

解きながらレベルアップ経食道心エコー問題集

これをやる(中古で1万くらいだった)
周術期経食道心エコー図―効率的に学ぶために

周術期経食道心エコー図―効率的に学ぶために

何を勉強すればいいのかわからないけど設問で聞かれるということは大事なんだろう、ということでわからなくてもとりあえず1周する。

TEEの標準的なview を勉強するのに、最新版のやつを新品で(webアクセスになってた)

経食道心エコー法マニュアル[Web動画付](改訂第5版)

経食道心エコー法マニュアル[Web動画付](改訂第5版)

  • 作者:渡橋 和政
  • 出版社/メーカー: 南江堂
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 単行本
旧4版を上司が持っていたので読んで(DVD付)
経食道心エコー法マニュアル 改訂第4版

経食道心エコー法マニュアル 改訂第4版

  • 作者:渡橋 和政
  • 出版社/メーカー: 南江堂
  • 発売日: 2012/02/14
  • メディア: 単行本
旧3版が職場にあったので読んだ(DVD付)。
経食道心エコー法マニュアル

経食道心エコー法マニュアル

  • 作者:渡橋 和政
  • 出版社/メーカー: 南江堂
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本
旧2版まで職場にあったので読んだが、アマゾン上では中古すらもうなかった。

薄かったし中古で2000円くらいだったので買ったが本当にペラッペラな内容だった。

経食道心エコー―撮り方,診かたの基本とコツ

経食道心エコー―撮り方,診かたの基本とコツ

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 羊土社
  • 発売日: 2011/06/01
  • メディア: 大型本

大学にいる時代にこれのPDFアクセス権があったので読んだ。2版が出ているが買ってない。

経食道心エコーハンドブック―2D TEE

経食道心エコーハンドブック―2D TEE

  • 作者:Annette Vegas
  • 出版社/メーカー: 克誠堂出版
  • 発売日: 2013/05/01
  • メディア: 単行本
3Dもやっておいたほうがいいとのことでこれも読んだ。M弁の構造がこれでやっと理解できた。
経食道心エコーハンドブック―3D TEE

経食道心エコーハンドブック―3D TEE

中古で3000円くらいだったので意識高い系で英語の教科書も読んだ。渡橋本と比べてよかったのが、渡橋本は術中の所見や画像が多いのにたいして、こちらはエコーの真面目な原理とか生理学が書かれていたのと、dp/dt やMPI やそういう評価指標が真面目に書かれていたのと、意外と勉強が抜けがちな経胸壁エコーの話、救急エコーの話の項もあった。

Practical Perioperative Transesophageal Echocardiography: Text with DVD-ROM, 2e

Practical Perioperative Transesophageal Echocardiography: Text with DVD-ROM, 2e

エコーの原理の話はこれがよかった。サイズと値段が一致しないような感じがするが、中身は相応だと思った。ただし上司に借りた。数式が豊富で物理履修者でないと少し厳しい感が否めないが、普通に臨床エコーで使うモードを噛み砕いて説明してあるような気がした。
超音波の基礎と装置 四訂版 (コンパクト超音波αシリーズ)

超音波の基礎と装置 四訂版 (コンパクト超音波αシリーズ)

  • 作者:甲子 乃人
  • 出版社/メーカー: ベクトル・コア
  • 発売日: 2013/01/10
  • メディア: 単行本



とりあえず試験を受けようと思った時に、そもそもTEEの経験値としては、検査技師が術中は全部やってくれるので、暇なときに一緒にエコー画像を見ながらレクチャーしてもらって、「これはアレですねぇ(ドヤ顔」って感じで話してた。
試験までに弁膜症5例CABG5例くらいしか心臓麻酔やれてない。
動画を見ないことにはやばい、と上司から脅されていたので

DVDでみる経食道心エコー法アドバンス

DVDでみる経食道心エコー法アドバンス

  • 作者:渡橋和政
  • 出版社/メーカー: 南江堂
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本
弓部大動脈と大動脈解離への情熱がなんかすごいと思った。

実践周術期経食道心エコーマニュアル 基本と応用(CD-ROM付)

実践周術期経食道心エコーマニュアル 基本と応用(CD-ROM付)

  • 作者:David Sidebotham
  • 出版社/メーカー: エルゼビア・ジャパン
  • 発売日: 2006/06/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
これはあまり役に立たなかった。

TEEビデオ練習問題集

TEEビデオ練習問題集

  • 作者:大西 佳彦
  • 出版社/メーカー: 克誠堂出版
  • 発売日: 2012/12
  • メディア: 単行本
問題がクソと評判だったが、実はこれが本番に一番近いような難易度な気がした。ただし本番はもっとクソ問だった。

実戦TEE(経食道心エコー法)トレーニング: 動画で学ぶ術中戦略(DVD付)

実戦TEE(経食道心エコー法)トレーニング: 動画で学ぶ術中戦略(DVD付)

  • 作者:渡橋 和政
  • 出版社/メーカー: 南江堂
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: 単行本
著者のこれまでの本とかぶるような内容が多かったが、本当の症例でどうするか、みたいな意識高い系には良いと思った。
心臓手術チームのための経食道心エコー

心臓手術チームのための経食道心エコー

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2017/06/08
  • メディア: 単行本
心臓血管外科の先生とドヤ顔で議論するために買ってみたが、TEEの勉強というよりは普通に心臓手術の勉強だった。

心臓麻酔の症例の勉強をしようと思って買ったら、巻末にTEEの項があったのでちょっとよかった。

続 麻酔科臨床の書 -A.M.C.心臓手術と麻酔の手引-

続 麻酔科臨床の書 -A.M.C.心臓手術と麻酔の手引-

A.M.C.心臓手術と麻酔の手引:実践9症例

A.M.C.心臓手術と麻酔の手引:実践9症例

  • 作者:井出雅洋,吉田和則
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2017/06/12
  • メディア: 単行本
いつか読もうと思って上司の本棚から取ってパラパラ眺めてみたら、TEEの項がほんのちょっとだけある。
心臓手術の麻酔 第4版

心臓手術の麻酔 第4版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2014/05/15
  • メディア: 単行本

意識高い系ならガイドラインは読んでおくのかもしれない。
www.ncbi.nlm.nih.gov
www.ncbi.nlm.nih.gov



こいつはクソだった。TEEのことなんにも書いてなかった。

心臓麻酔デビュー(LiSAコレクション)

心臓麻酔デビュー(LiSAコレクション)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2018/09/03
  • メディア: 単行本

メタアナリシスっぽいので公平な入試を受けたい

12月7日の配当記事です。
qiita.com

Japan.Rでこの話をした。
mikuhatsune.hatenadiary.com

SlideShare は埋め込めるけどRpubs は埋め込めないようだった。
RPubs - 20191207 Japan.R#7
前回の記事との変更として、「女子学生に対して、男子学生の合格」にORを計算しなおした(逆数にしただけ)なので、googleVis の横軸は逆になっている。

メタアナリシスは意外と知っている人が多かったが、googleVis のほうがあまり知られていないようだった。
メタアナリシスはこれが簡潔に書いてあったし

Introduction to Meta-Analysis

Introduction to Meta-Analysis

R でどうやるかはこちらが詳しい。
Meta-Analysis with R (Use R!)

Meta-Analysis with R (Use R!)

  • 作者:Guido Schwarzer
  • 出版社/メーカー: Springer
  • 発売日: 2015/10/16
  • メディア: ペーパーバック

reveal のRスライドをRpubs にアップロードするときに毎回忘れてエラーになるのでメモ。

self_contained: true

として、reveal_plugins はコメントアウトして無効にする。

reveal_plugins: ["notes", "chalkboard"] #search

産科ICU

読んだ。

INTENSIVIST Vol.8 No.2 2016 (特集:産科ICU)

INTENSIVIST Vol.8 No.2 2016 (特集:産科ICU)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2016/04/22
  • メディア: 雑誌
COI:上司が持ってた。
 
集中治療で産科の患者がICUを利用することは、超大型周産期医療センター以外あまりないと思うので経験値的なものがなかなか積めない。
書籍で実際の死戦期帝王切開(PMCD、死戦期というのが患者に説明するのにアレなので母体胎児救命、という語句を使うのはどうか、と言っていた p403)の流れ、筆者らの施設で導入しているアクションカード(麻酔科、産科、看護師長らが持っている流れの確認カード)などが記載されていて具体的だったし、集中治療医が大好きな生理学とか、産科そのものの病態としてPIH、産科DICなどまとまっていたのでよかった。
 
産科の話はよかったが、Methodsを読むMethod 研究デザインを理解し、結果を読み解く:第一回 EBMを正しく理解していますか?の項で、p値と信頼区間の章(p485-486)で

一方、信頼区間は、その結果がどの程度「もっともらしいか」を示している。今回のプライマリアウトカムはオッズ比 2.7(95% 信頼区間 1.2〜6.1)と報告されているが、これは同じ研究を際限なく繰り返して行なった場合、95% の確率でオッズ比が1.2〜6.1 の間になるという解釈になる

というのは、頻度主義的な立場からすると間違いで、オッズ比が信頼区間の間にあるではなく、際限なく実験したら信頼区間がオッズ比を含むのが95%、ということである。
集中治療の人ら、こういうEBM()は好きなくせに、肝心の中身とか効果量とかそもそもの統計学知識が素人の自分から見てもアレなのでほんとにアレ()
 
一方で、

余談であるが、無作為化した際、ベースラインの差を検定し、p値を表示している研究を見たことがあるだろう。このときのp値は何を意味しているのだろうか? これも、アウトカム同様2群が等しいと仮定したときの確率を示している。しかし、RCTでは無作為化しているので、2群間のばらつきが等しいことは検定する前からわかっている。すなわち、この場合のp値は何の意味もない。どんな値であっても、偶然の結果なのである。

と書いてあったので、長年の疑問が解消されたわけだが、かといって2群間のばらつきが等しい状況で仮説検定しても、有意水準5%なら5%のパラメータは有意になるはずなのだが、table 1 のなかでp<0.05 になっている、つまり、RCTで無作為ランダム化したのに、偶然にも有意差を持ってしまったパラメータおよびそんなtable 1を持っている研究には出会ったことがないので、これはなんでだろう。

下壁と後壁って何が違うの?

心臓の解剖や生理、病理がわかってない勢だから(自由壁破裂って一体どこ…??)って思ってた。実際は固定されてて動かない中隔以外の壁を自由壁というらしい。へぇ。

経胸壁エコーや経食道エコーで下壁とか後壁とか言われて(えっこれ何が違うん…??)って思ってた。

結論から言うとここにすべて書いてある。
illustrator-amy.com

真面目に書くと、日本循環器学会の慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)というのを読んでいてわかった。
www.j-circ.or.jp
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_yamagishi_tamaki.pdf
英語では下壁(basal level でのseg 4) をinferior と言っているが、日本語でいう後壁は英語ではinferolateral (basal level でのseg 5) ということらしい。今では下側壁と言われる。
経胸壁エコーならばプローブに最も近い(画面の上)ところに前壁がくるので前壁側が上だが、経食道エコーならプローブに最も近いところが下壁になるのでエコー画面ではTTEとTEEは上下反転でsegment を考える。

www.ncbi.nlm.nih.gov
英語を読むのが面倒だったら和訳もある。
http://www.jse.gr.jp/contents/guideline/data/ASEguideline%EF%BC%88JAP)_20180123.pdf

www.ncbi.nlm.nih.gov

経食道心エコー法マニュアル

読んだ。

経食道心エコー法マニュアル[Web動画付](改訂第5版)

経食道心エコー法マニュアル[Web動画付](改訂第5版)

COI:自費で購入
 
第4版をいつ買おうかと悩んでいたらいつの間にか第5版が出たので買った。
経食道心エコー法マニュアル 改訂第4版

経食道心エコー法マニュアル 改訂第4版

DVD付属だったのがwebになっていた。分厚さはちょっと増えた。
職場の共用本に第2版と第3版があって、第4版は上司から借りていた。第2版はアマゾンですらもう中古在庫が存在しない。
経食道心エコー法マニュアル

経食道心エコー法マニュアル

第4版と第5版では1P目から既に書いてある文言が異なっているので、だいぶ改定したようである。
英語の教科書と違ってエコーのそもそもの物理的原理とか、心臓機能の定量的評価値とかの記述はペラいが、筆者の豊富な症例集から「こういうとき、こう見える」というのがたくさん載っているので、よいと思う。
web動画も見たらそれはそれでよいのだが、本書にもキーとなる1枚絵は載っているので、webがなくても勉強はできる。