浮腫(担当KY)

62F
主訴:2週間前からの下肢浮腫
 
浮腫の生理・病理として
毛細血管静水圧
間質の膠質圧
血漿膠質浸透圧Alb
間質の静水圧
血管透過性
リンパ管の閉塞
 
全身性(両側性に症状が現れる)
考えるべき臓器は、心臓、肝臓、腎臓
肝硬変(Alb合成不全による血管膠質浸透圧低下)
nephrotic syndrome(Alb喪失による血管膠質浸透圧低下)
(右心)うっ血性心不全(循環量上昇)
医原性(NSAIDs、抗高血圧剤、抗うつ薬に抗α1作用)手術
粘液水腫(甲状腺機能低下症)non-pitting edema
栄養不良

局所(片側性に症状が現れる)
DVT→PE(毛細血管静水圧上昇)
腫瘍(特に骨盤内pelvic mass:卵巣腫瘍)
若年なら妊娠もありうる
アレルギー
感染
熱傷
 
問診
O:2ヶ月前から疲労感。2週間前から浮腫
両足下肢に浮腫
食事普通
既往歴:高血圧、糖尿病、胆嚢摘出時に輸血
服用薬:サイアザイド、ACEI、スタチン、ピオグリタゾン、NSAIDs
家族歴:なし
酒、タバコはしない
息切れなし
腹部膨満感
 
全身性か局所かの鑑別に必要なこと
輸血歴:慢性肝炎、肝硬変
不明瞭な腹部:復水、心不全、腎不全
高血圧、糖尿病:血管障害
薬剤:浮腫
卵巣腫瘍:悪性復水
 
身体診察
押してみたら圧痕あり(pitting edema)
背部叩打痛なし
腹部触診:ちょっと張ってて、柔らかい。肝臓腫大なし、脾臓触知
聴診でIV音
眼瞼結膜の黄疸なし
経静脈怒張なし
直腸検査で痔発覚
BP 100/60 HR 92 RR 16
 
検査
Hb 10.5 Hct 31% Plt 12.3 Alb 2.1 AST 66 ALT 102 urine protein 2+
 
腎臓か肝臓かを鑑別するために
エコー
CT 肝臓結節、巨脾、腹水
total chol 145
24h蓄尿 1.4g < 3g
HBV Ag (-)
HCV Ab (+)
 
診断
HCVによる肝硬変
静脈瘤を懸念してesophagogastroduodenoscopy
 
肝硬変を疑うということで
原因:HCVHBV、アルコール
症状:肝性脳症、黄疸、くも状血管腫女性化乳房、手掌紅斑、門脈圧亢進、静脈瘤、腹水
検査値
汎血球減少
AST上昇(肝細胞傷害)
ビリルビン、ALT上昇(肝内胆汁うっ血)
PT延長、Alb低下、ChE低下、Cho低下(肝合成能低下)
 
肝硬変の評価にはChild-Pughスコアというものを用いる。
この症例では
脳症1点
腹水3点
Bil1点
Alb3点
PT1点
9点B
 
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