黄疸(担当MO)

56F
結膜が黄色いほどの黄疸が2週間続く。
 
ビリルビンについて
T-Bil 2-3mg/dl 正常は1以下
測定できるのは直接Bil。
生理
脾臓でヘモグロビン
間接ビリルビン脂溶性)Albと結合して肝臓へ
グルクロン酸抱合により直接ビリルビン(水溶性)に変換されて排泄
ウロビリノーゲンは腸肝循環によりぐるぐる
 
鑑別
ポイント:直接か間接かどちらが上がっているか
 
1: 間接Bil上昇
PNH
溶血性貧血
AIHA
不適合輸血
心不全
敗血症
Gilbert症候群
 
2: 直接Bil上昇(肝細胞障害性黄疸):AST, ALT上昇
ウイルス性肝炎
肝細胞癌
肝硬変
アルコール性肝炎
薬剤性
NAFLD
AIH
 
3A: 肝外へ出て行かない(閉塞性黄疸):白色便、ALP, γGTP上昇
胆石症
胆嚢炎
膵頭癌、転移
胆管癌
胆管炎
 
3B: 肝内から出て行かない(肝内うっ血性肝硬変)
ウイルス性肝炎
アルコール性肝炎
肝硬変
薬剤性
PBC
PSC
 
黄疸が出た時のアルゴリズム
 
問診
O: 2週間前
食欲不振、疲労
既往歴:ラトビアで輸血、1996年
服用薬はなし
タバコは吸わない
お酒は毎日ワインを1本と4杯、長年
便が白いというか灰色
褐色尿(水溶性の直接Bilが上がっている所見)
 
身体診察
著しい肝腫大
腹部の圧痛はないようだ
 
T-Bil 13D-Bil 9.6 I-Bil 3.4 AST 250 (8~38) ALT 113 (4~44) ALP 503 (104~338) Alb 2.8 PT 15.4 (12) WBC 22000
 
一番ありえそうな
ウイルス性肝炎:(AST, ALT)> 1000
アルコール性肝炎:AST>ALT, AST/ALT > 2, (AST,ALT) < 500
両者は症状が非常によく似ている:食欲不振、疲労感、肝腫大、吐き気、嘔吐、圧痛
 
追加検査
CT:肝腫大、腹水あり、膵臓は普通
HAVIgM HAV Ab
生牡蠣、生水
HBV:HBsAg, IgMHBcAb
垂直感染、輸血
HCVHCV Ab, HCV-RNA
結果はすべて陰性でした
 
アルコール性肝炎でしょう
追加で肝生検:肝硬変への以降寸前
 
治療
アルコールやめる
ステロイド
 
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