輸液(担当YF)

MikuHatsune2012-07-29

症例1
75歳男性。某日夕方より、発熱、嘔気があった。食後、一度嘔吐があり、深夜二度目の嘔吐があり、救急外来を受診した。
腹部正中手術痕、臍部周辺に圧痛あり。腸蠕動音聴取困難。打診鼓音。
 
よくわからんけど、手元にたくさんあったソルデム3Aという3号液を大量に静注した。
 
症例2
25歳男性。腹痛と、便器いっぱいになるほどの真っ赤な下痢を主訴に来院。その後治療寛解、再燃を繰り返していた。一日数十回の下痢、血便があり、救急外来を受診した。
 
よくわからんけど、手元にたくさんあった生理食塩水を大量に静注した。
 
日本医学でいうところの輸液は、0.9%生理食塩水と5%ブドウ糖液(5%Tz ごぷろつっかぁ)をどの配合比で混ぜたか、それらを1〜4号液と読んで現場で使用している。

救急の初期対応では、腎不全でのK排泄能が評価できないとき、Kを含まない1号液から開始する。
その後、3号液など(維持液と呼ばれる)のカロリーをそこそこ含む輸液へと変更する。
カロリーは
ブドウ糖1g:4kcal
脂質1g:9kcal
アミノ酸:4kcal
となるので、1日負荷最大量2000mlを考慮すると、ソルデム3Aでは1000ml中ブドウ糖が43g入っているので、2000mlで344kcalにしかならない。
 
症例1では、高齢であり、
BUN 24mg/dL, eGFR 37 ml/min
Na 138mEq/L, K 4.6 mEq/L, Cl 105 mEq/L
Ca 8.5 mg/dL, P 2.1 mg/dL
とかなり腎機能が落ちていたので、高K血症をきたし、不整脈が出た。
高K血症には、Insulin + Glucose、カルチコール(Ca)、メイロン(HCO3-によるアシドーシス補正)、血漿交換、透析を行う。
致死的不整脈(無脈性VT、Vf)には除細動。
 
症例2では、だらだらと輸液を続けた結果、なんとなく力が入らない、両手足がチクチクしてしびれる、といった症状を訴えはじめた。
振動覚を調べたところ、著名な低下が見られた。
MRIで脊髄後索に変性が見られた。
亜急性連合性脊髄変性症である。
輸液時にはビタミンB群が欠乏しやすいらしく、ビタメジンの投与が必要。
 
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