変行伝導

毎回聞いても訳わからんのでテキスト読んだ。

心電図の読み方パーフェクトマニュアル―理論と波形パターンで徹底トレーニング!

心電図の読み方パーフェクトマニュアル―理論と波形パターンで徹底トレーニング!

P67を写経する。
 
心室内変行伝導(aberrant intraventricular conduction)は、上室性不整脈に伴ってみられる1拍もしくは数拍持続する幅広いQRS群である。その形態から心室期外収縮と間違って判定されることも少なくないが、これは本来、刺激が伝導系の生理的不応期に遭遇したために生じる機能的な伝導障害である。
心室内伝導系の不応期の持続時間は右脚>左脚前枝>左脚後枝の順に長く、心室全体で均一ではない。このため、電気的興奮が心室に伝わった時点でもなお、伝導系の一部がその一拍前の心周期の電気的興奮から回復しきれずにまだ不応期にあることがある。この場合、十分に回復している部分は通常の反応を示すが、不応期にある部分では心室内の伝導が不均一になる。そのためQRS群は脚ブロックに似た形態となり、これを心室内変行伝導という。
心筋の不応期の持続時間は、先行する興奮の周期に比例して延長するため、先行RR間隔が増すと不応期が延長する。心房細動などの上室性不整脈により先行RR間隔が延長した直後には、心室内伝導系の繊維束のうちで最も不応期が長い右脚の不応期がさらに延長する。その時点で上室部から刺激が再び伝わると前述の機序によりV1にrSR'型の幅広いQRS波形が認められる。つまり、長いRR間隔の直後に早いタイミングで右脚ブロックパターンのQRSが出現している場合には、心室期外収縮よりもむしろ心室内変行伝導である可能性が高い。ほかに器質的心疾患がある場合には、伝導遅延は右脚以外の繊維束でも生じることがあるので一層注意深い解析が必要である。同調律のときのも上室性期外収縮が変行伝導することがあり、このときも心室期外収縮との鑑別が問題となるが、先行するP'波が認められれば変行伝導を伴う上室期外収縮が確定的である。
また心室内変行伝導は、上室から房室結節を介して心室に伝わったものであるのでQRSの初期ベクトル(initial vector)がほぼすべての誘導で正常QRSと同一であるという特徴を有する。初期ベクトルが同一とは、「正常QRSの立ち上がりが陽性の誘導では変行伝導したQRSの立ち上がりも陽性、陰性なら陰性」ということである。これが逆のときは変行伝導より、心室期外収縮の方が考えやすい。
 
結局、心室内変行伝導は
1:長いRRの次に早いタイミングで入ったQRSに生じやすく
2:多くは右脚ブロック型であり
3:初期ベクトルが同一である
という特徴を有する。
 
wide QRS の頻脈を見たらVTです、としか習わなかった弊害がここで出てて、wide QRSを見たら
心室内変行伝導を伴うAf (RBBBなど)
WPWを伴うAf
VT
が頻度の高い鑑別で、稀なものとして
ブロックや変行伝導を伴うAFL
変行伝導を伴う多源性心房性頻拍