倫也くんのことを春希くんほどに好きになれなかったわけ

冴えない彼女の育て方が13巻を持って原作完結した。(FDやGSといったサイドストーリーもあるけど)
kindle でいつも1ヶ月遅れで読んでいたけど、今回は待ちきれずにkindleポチーと同時に単行本も買ってしまった。

 
さえかのとの出会いは思い返すと4年くらい前、既に3巻くらい出ていて丸戸信者だったので気になっていたのだが手を出していなかった。
 
その前に丸戸との出会いはパルフェなのだが、カトレアのオリジナルツンデレにやられ、そうかと思いきや里伽子ルートですべて持って行かれて
でもTRUE ルートでカトレアも里伽子もあああぁぁぁああってなるあの主人公以外の裏の視点で描かれる話のうまさにもうなんか信者と化した。
で、コミケC87 の三日目に参加するのはいいが、何も買うものがなくてどうしようかと思っていてとりあえず壁サーに並ぶかと思って並ぼうとしたところで冴えない彼女の挿絵を描いているCradle が目に入ったので薄い本を買ったのが運の尽き、それ以降原作も買って読んでいるというわけだが、5年の歳月を経て完結した。
パルフェ -chocolat second brew- STD 初回版

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追いかけていたラノベ作品がきちんと完結するというのは久しぶりなので盛大なネタバレを含みつつTAKI くんのごとくネットに評価を書いてみる。何度も言うとおり丸戸信者なので基本的に甘めであるが、倫也くんのことは好きになりきれなかった(と思っている)ので、なぜ自分のなかで好きになりきれてなかったのかこれまた丸戸の超傑作WHITE ALBUM2 の主人公である春希くんと対比しつつ語ってみる。 
前提として、
これを書いている人は詩羽先輩派
原作は恵エンド、エリリンゴと詩羽先輩はきちんと振った。
 
結論からいうと、やはり18禁的要素が倫也くんに欠けていたので、あんだけ魅力的なヒロインたちを目の前にして高校生男子としてのリアリティに欠けていたと自分としては思ってしまうのが原因なのかもしれない。
一般レーベルの商業ラノベなのでレーティングとしては仕方がないが、商業に引きぬかれて大阪へエリリンゴと打ち合わせにいく詩羽先輩にキスされたり、13巻でも恵と散々チュッチュ描写はあるが言い訳のごとく本番はしていないとか、それくらいの描写なのである。
 
ホワルバ2 の記憶ももうあやふやなので間違っているところもあるかもしれないが
その点、春希くんはPCゲームというメディアの特徴を活かして、ヒロインというか雪菜やかずさとはアレコレしているわけである。春希くんはもともと学級委員ポジなのでかずさの世話をあれこれ焼いていたのだが、春希くんがかずさの世話を焼いていたのは顔が好みだったからとはっきり言っているのである。雪菜を誘って学園祭で伝説のライブを成し遂げ、それで雪菜がぞっこんラブになって雪菜と付き合うのだが、本心ではかずさが気になっていて仕方がなく、それであの空港の伝説のシーンである。
大学編もいちおうは雪菜との関係は続いているのだが、前述のシーンの影響があって、春希くんは講義にバイトと過密スケジュールを組むことで雪菜との距離を置くわけだが、この間に雪菜以外のヒロインとの交流もあり、雪菜以外のヒロインルートもあれば、雪菜との愛を確かめあうルートももちろんあり、このマルチエンディングも一般レーベル商業作品では難しい点である。
で、ホワルバ2がここで終わらないのが、closing chapter で終わりかと思ったらあのcoda 編が始まってルクセンブルグでまさかのかずさとの再会を果たし「ここで終わりだといつから錯覚していた!?」となるわけである。
 
ホワルバの話が長くなってしまったが、ここで、倫也くんのことを好きになれなかったがの、柏木エリや霞詩子作品を崇拝する熱量だけでゲーム作りもフィールズクロニクル運営もハーレム形成もなんか知らないけど勝手にことが進んでいる、というのがなんとなくこう、丸戸作品にしてはご都合展開過ぎないかなあと思った。ホワルバは春希がかずさをかまっていたけどこの構いっぷりがあまりにも熱心だったため、母親以外に世界がなかったかずさが惚れるのは当然だし、雪菜もいままで隠していた素顔をさらけ出すことができた初めての人、という点では惚れるのもわかる。この二人のメインヒロイン以外のヒロインも、雪菜との関係をどうこうしようか悩んでいるときになんかうまく絡んできて、彼女らのルートになったときにはそれなりに、「彼女から惚れられる理由」というのがわかる気がする。
それに比べて倫也くんの場合は、ヒロイン側、というより恵が惚れる理由というのが弱かった気がする。5000兆歩くらい譲って、幼馴染補正があるエリリンゴや、最初のファンという詩羽先輩は惚れてもいいのかもしれない。しかし恵に至っては、倫也くんがフィールズクロニクル騒動に勝手に巻き込まれて自サークルを放り出している間に正妻力を発揮してマネージメントしていたり、GSでエリリンゴと女と女の拳の闘いをしていたりと、冴えないというのがタイトル詐欺なくらいに冴えているのだが、だからといってこれで倫也くんに惚れるのは個人的には腑に落ちなかった。しかも倫也くんの何が気に食わないというと、作品の情熱というだけでシナリオ力だったりフィールズクロニクルをマネージメントしたりという謎の能力が本当にご都合主義である。丸戸シナリオのよいところは、昨今のなろう作品のように異世界にいったり謎のファンタジーだったりといった展開のない、リアルな世界を描いている作品がおおい。これは前述のパルフェやホワルバ2だったり、世界で一番NGな恋だったりと、そういう作品に現れている。そして、これらの主人公は(確か)好感が持てた、はず。
それに比べて倫也くんはぁ…という印象が拭えなかったのが7?か8巻くらいからの感想である
 
散々倫也くんsage をしたわけだが、冴えない彼女の育て方という作品自体はよかった。特に13巻(というか記憶が一番はっきりしているからだが)では、12巻の恵への告白からその返事、エリリンゴと詩羽先輩を振るという展開になっており、ハーレム展開をしたけどそもそも完結できてない作品や、誰かを選ぶとか誰も選ばないとかそんな決断もできず「俺達の戦いはこれからだ!!」的END が多い中、冴えない彼女をたった一人の冴える彼女に仕立てあげた丸戸は神。エリリンゴと詩羽先輩をそれぞれ振って、挿絵に彼女らの姿が描かれているのを見てすこし泣いてしまった。というか、かやのんボイスの詩羽先輩を振るなんて本当にアレ。でも振るシーンの胃のキリキリ感は春希くんの圧勝で、例えば小春ルートで雪菜と小春がなんか話してて小春がファミレスを後にしたときの雪菜の一人泣きシーンは本当にもう泣いたし、coda編でかずさノーマルエンド(?) のときにほぼ婚約状態だった雪菜の家にいって両親に打ち明けるシーンなんかはもう胃がキリキリして胃薬が必要な状況だったし、これは最高の描写だったと思う。その後、春希くんはすべてを捨ててかずさを選び、二人でドイツ(? かウィーン)にいってかずさのマネージャーを選ぶわけだし、なんか春希くんage がすごい。
ハーレム状態にうつつを抜かしてゲームを作っていたので大学全落ちして恵と同じ大学行けなくてメシウマ感はんぱない。(たしか迷い猫オーバーランも主人公は浪人していた気がするし、誰も選ばないEND だった気がする。)けれどもコミケでの売上が認められて、町田さんに編集部に誘われたり、紅坂にも声をかけてもらったりというのは、そういう業界で生きていくにはありなのかなあと思った。ちなみに自分は声優統計を散々書いたけど声はかかっていません()
 
無印は終わってしまったので恋メトの続きが私、気になります。