時系列分析と状態空間モデルの基礎: RとStanで学ぶ理論と実装

読んだ。

時系列分析と状態空間モデルの基礎: RとStanで学ぶ理論と実装

時系列分析と状態空間モデルの基礎: RとStanで学ぶ理論と実装

COI:自費で買った。
 
時系列分析とRstan を使った状態空間モデルの勉強がこれ一冊でできる、というのは誇大広告で、いわゆる古典的な時系列解析が前半2/3、ベイズ的な状態空間モデルが後半1/3に書いてある。
最近のはやりで、ベイズ的な状態空間モデルの勉強をしよう、と思ってこの本を手に取ると、少しがっかりする。というのも、状態空間モデルについての話はけっこうスカスカだし、読むなら断然こちらである。 
しかし、この本の素晴らしいところは、前半2/3 で古典的な時系列解析についてわかりやすく説明されており、その流れを踏まえて後半1/3 の状態空間モデルを読むと、状態空間モデルそのものについてはもうほとんどわかった状態で読める、ということである。
前半の時系列解析は、自分でも以前勉強はしたがちょっとあやふやで記憶も薄れていたこともあったが、非常にわかりやすかった、と思う。
 
単位根過程は、原系列が非定常過程であり、差分系列が定常過程であるときにいう。
この検定にはKPSS検定とADF検定があるが、両者の帰無仮説の設定が逆で興味深かった。
KPSS検定は、y_t=\alpha+\beta t + \sum_{i=1}^t u_t + \epsilon_t, u_i\sim iid(0, \sigma_u^2) を仮定して
H_0\sigma_u^2=0帰無仮説は単位根なし)
H_1\sigma_u^2\not{=}0ランダムウォークがあればトレンドを除去しても単位根が残るので、対立仮説は単位根あり)
 
ADF検定は、AR(1) モデルであるy_t=\phi_1y_{t-1}+\epsilon_t, \epsilon_t\sim N(0, \sigma^2) について、
H_0\phi_1=1(ホワイトノイズの累積和になり、ランダムウォークとなりつまり帰無仮説として単位根あり)
H_1|\phi_1|<1(対立仮説は単位根なし)
となる。
 
ふたつ検定があれば単位根のあるなしの判定はほぼ確実にできるのだろうか?