産科ICU

読んだ。

INTENSIVIST Vol.8 No.2 2016 (特集:産科ICU)

INTENSIVIST Vol.8 No.2 2016 (特集:産科ICU)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2016/04/22
  • メディア: 雑誌
COI:上司が持ってた。
 
集中治療で産科の患者がICUを利用することは、超大型周産期医療センター以外あまりないと思うので経験値的なものがなかなか積めない。
書籍で実際の死戦期帝王切開(PMCD、死戦期というのが患者に説明するのにアレなので母体胎児救命、という語句を使うのはどうか、と言っていた p403)の流れ、筆者らの施設で導入しているアクションカード(麻酔科、産科、看護師長らが持っている流れの確認カード)などが記載されていて具体的だったし、集中治療医が大好きな生理学とか、産科そのものの病態としてPIH、産科DICなどまとまっていたのでよかった。
 
産科の話はよかったが、Methodsを読むMethod 研究デザインを理解し、結果を読み解く:第一回 EBMを正しく理解していますか?の項で、p値と信頼区間の章(p485-486)で

一方、信頼区間は、その結果がどの程度「もっともらしいか」を示している。今回のプライマリアウトカムはオッズ比 2.7(95% 信頼区間 1.2〜6.1)と報告されているが、これは同じ研究を際限なく繰り返して行なった場合、95% の確率でオッズ比が1.2〜6.1 の間になるという解釈になる

というのは、頻度主義的な立場からすると間違いで、オッズ比が信頼区間の間にあるではなく、際限なく実験したら信頼区間がオッズ比を含むのが95%、ということである。
集中治療の人ら、こういうEBM()は好きなくせに、肝心の中身とか効果量とかそもそもの統計学知識が素人の自分から見てもアレなのでほんとにアレ()
 
一方で、

余談であるが、無作為化した際、ベースラインの差を検定し、p値を表示している研究を見たことがあるだろう。このときのp値は何を意味しているのだろうか? これも、アウトカム同様2群が等しいと仮定したときの確率を示している。しかし、RCTでは無作為化しているので、2群間のばらつきが等しいことは検定する前からわかっている。すなわち、この場合のp値は何の意味もない。どんな値であっても、偶然の結果なのである。

と書いてあったので、長年の疑問が解消されたわけだが、かといって2群間のばらつきが等しい状況で仮説検定しても、有意水準5%なら5%のパラメータは有意になるはずなのだが、table 1 のなかでp<0.05 になっている、つまり、RCTで無作為ランダム化したのに、偶然にも有意差を持ってしまったパラメータおよびそんなtable 1を持っている研究には出会ったことがないので、これはなんでだろう。