骨痛(担当YF)

40F。独身。
1年前から全身の骨に痛みが徐々に現れた。
やがて日常生活にも支障が出るようになった。
 
以降、ロキソプロフェン内服。
特に下腹部と胸部の痛みが強い。
複数の医療機関を受診後、当院受診。
Caサプリを飲んだこの1週間は症状が軽い。
1年で10kgの体重増減。
 
精神疾患で通院、投薬歴あり。
治療経過は非常に不安定。

テーマとしては、腫瘍か非腫瘍かの鑑別。
腫瘍による骨転移か、機械的な骨痛かで大きく方針が異なる。
 
鑑別
腫瘍性
骨転移、肺癌乳癌腎癌、胃癌、肝臓癌、多発性骨髄腫
太字は特に骨転移頻度が高いもの。男性では前立腺も疑う。
 
非腫瘍性
骨折、骨粗鬆症副甲状腺機能亢進症、骨軟化症、SAPHO症候群(滑膜炎、座瘡、膿疱症、骨化症、骨炎)、骨パジェット病Fanconi症候群、外傷、薬剤性
 
検査
WBC 4300 Hb 13.3 Plt 278000 BUN 8.7 Cr 0.43 ALP 830(80-260) Na 140 K 3.5 Cl109
心電図 胸部X線 異常なし
前医からの骨シンチでは肋骨、骨盤周囲に対称性に集積像が見られた。
 
緩慢な経過と骨シンチの多発スポット像から、腫瘍性病変は考えられにくく、非腫瘍病変を疑って追加検査
Blood; Ca 9.0 P 3.7 Mg 2.3 HCO3 27.1 25-OH VitD 13.4 iPTH 102 ALP isozyme I
Urine; Ca, P, VitD are normal
iPTH↑
 
また、追加問診と前医への問い合わせにより、菜食主義者であること、カルバマゼピンフェノバルビタール乱用の情報を得た。
これらより、極端な菜食主義と薬物乱用による骨軟化症との診断がついた。
 
ビタミンDについて


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