前向き研究と実験研究

PART6 CHAPTER27
 
用語の確認。本中の語を転載する。
罹患率incidence:新たな疾患発症例の比率
有病率prevalence :疾患を有している群の比率
前向き研究prospective study(縦断研究longitudinal ~):2群を選ぶ。一方の群は可能性のある危険因子に暴露されており、他方の軍は暴露されていないもととする。次に、疾患の自然歴の進行を待ち、2群における罹患率を比較する。
横断研究cross-sectional study:疾患や危険因子にかかわらず、対象として単一のサンプルを選ぶ。次に、この対象を危険因子に対する以前の暴露に基づいて2群に分ける。そして、2群における疾患の有病率を比較する。
実験研究experimental study:対象として単一のサンプルを選び、これをランダムに2群に分ける。群のそれぞれで異なる治療(または、治療ありなし)を行い、疾患の罹患率を比較する。
ケースコントロール研究case-control study:対象として2群を選ぶ。一方の群は疾患や研究の対象となる条件を有するもので、ケースに相当する。他方の群は、条件を有しないという点を除く多くの点でケースと類似するもので、コントロールに相当する。可能性のある危険因子の暴露について、時間を遡ってこれら2群の比較を行う。
 
Cooper DA, et al (1993)は、HIVに感染した患者にAZTが効くかを調べた。
これはランダム化二重盲検前向き研究研究で行われた。
いくつか解析項目があったようだが、病状の進行だけ取り出してみる。
\begin{matrix}&progression&non-progression&sum\\AZT&76&399&475\\placebo&129&332&461\\sum&205&731&936\end{matrix}
AZTでは進行が16% (\frac{76}{475})、プラセボでは28% (\frac{129}{461})に見られた。
これを95%信頼区間で考えると

# AZTについて
binom.confint(x = 76, n = 475)
 
# プラセボについて
binom.confint(x = 129, n = 461)

95%信頼区間は、AZTで13% ~ 20%、プラセボで24% ~ 32%である。
これらはかぶっていないので、AZTはプラセボより進行しなさそう。
 
寄与危険度について
プラセボ28%からAZT16%は、リスクを12%軽減させる。
差の95%信頼区間は6.7% ~ 17.3%となっている。
 
治療効果発現必要症例数について(Laupacis, A et al; 1988
定義されたエンドポイントの症例期待数を1つ減らすために、どの程度治療を受けた患者が必要かを示す値。
ここの例では、0.12のの逆数で8.3となる。
8人治療したら、1人進行が食い止められる。
 
相対危険度について
プラセボ28%に対して、AZT16%は57%の減少である。
逆に、AZT16%に対して、プラセボ28%は175%の上昇でもよい。
このときの95%信頼区間は0.44 ~ 0.74。