MIKUセミナー 石けん膜の数理

MikuHatsune2012-04-20

数学セミナーの5月号。
話題は表面張力
 
1円玉を複数枚、水面に浮かべると、何枚か集まって細密充填構造になるか、壁に寄る。
コインの重さで若干沈んだ水面が等高線を作って、そこに表面張力が働くのだろうが、コイン同士が寄ることで、この等高線が一部融合し、ポテンシャル的に1枚単独でいるときより低くなるのだろうと思う。
 
実験では針金で作った立体模型にシャボン玉で膜を張った時、膜の張り方は面積が最小になるように張られるという。
立方体に膜を張ると、こんな形になるらしい。

外枠の立方体の辺を1、中心の小窓の辺をxとおくと、ガシガシ計算することで、膜の張る面積f(x)
f(x)=x^2+\sqrt{2}(1-x)+2(1+x)\sqrt{(1-x^2)+1}
となる。私はめんどくさいのでRで描いてしまうと

となる。実はf(x)が最小となるのは赤点になる。近似計算値を求めた。

f <- function(x){
	x^2 + sqrt(2)*(1 - x) + 2*(1 + x)*sqrt((1 - x)^2 + 1)
}

x <- seq(0, 1, length=30000)

plot(x, f(x), type="l")
points(x[which(f(x) == min(f(x)))], min(f(x)), pch=4, col=2) #最小となる点
min(f(x)) #最小値
x[which(f(x) == min(f(x)))] #最小値をとるx
f(0) #窓がない状態
min(f(x)) #最小値
[1] 4.242531
x[which(f(x) == min(f(x)))] #最小値をとるx
[1] 0.07290243
f(0) #窓がない状態
[1] 4.242641

 
こうなると、もっと複雑な立体模型でどうなるか考えた人がいるわけで、こんなふうになるらしい。

証明は上リンクのThe Structure of Singularities in Soap-Bubble-Like and Soap-Film-Like Minimal Surfacesに載っているが、私にはなるほど、わからん。
 
3次元の複雑な形を考えるならば、n次元にも拡張したくなる。生物系というのは様々な酵素反応など複雑な様式をとっており、ポテンシャル的に安定になろうとするのはどういう状況か、ということを考えることになるだろう。
 
表面張力と言えば医学的には肺胞サーファクタントが挙がる。バイオメカニクスとして数理モデルを考えている話がいくつかぐぐるとあったが、時間があれば考えることにして覚書程度に。
 
The Structure of Singularities in Soap-Bubble-Like and Soap-Film-Like Minimal Surfaces
Jean E. Taylor