読んだ。
PLoS One. 2016 Dec 9;11(12):e0167480. doi: 10.1371/journal.pone.0167480.
J(^o^)PAN I/II という顔文字の入った臨床研究なんて初めて見た!! とかそういう話はどうでもいいです。
救急外来では、午前中に受診者がいないと、ふいに誰かが「今日は患者さん少ないし静かな一日になりそうだね(ニコッ」ということがあるが、これを言うとたいていフラグになる、というのがこの業界でのジンクスである。
ではこのジンクスは本当か、という話。
救急外来をローテする研修医に対して、上級医が "Hope you have a quiet day!" (超意訳:今日は働きたくねえなあ!!)というと、研修医の対応する患者数や負荷、辛さが変わるかという無作為割付を行う。
結果としては救急搬送数が0.5件増えるだけで、特に有意差はない。しかも、その増えた0.5件も、現場的に見れば小さい値で、フラグ発言は気にすることはない。
実際に有意差が出た、救急搬送数は発言群で4.4(SD 0.16), 対照群で3.9(SD 0.15) である。救急搬送数や患者対応数はポアソン分布によると考えていいから、平均, 分散 である。例えば、平均して 件の対応がある救急外来を想定すると、95% 信頼区間は[0,7] である。95% 信頼区間は、超おおざっぱに で考えてよいから、現場で直感的に思うほどよりはるかに広いってゲノムの神が言ってた。
今回のprimary outcome である、研修医一人あたりの患者対応数は、SD がかなり狭く、実際に得た値としてはポアソン分布っぽくなさそう。t.test で検定しているようなので、超おおざっぱに考えればポアソン分布の平均 について検定しているようなものなので、フラグ発言で統計学的には有意差が増えるが、実世界的には微々たるものである。
対象となった病院は、1000床を超え(大学病院レベル)、救急外来も3次救急(病気で死にそうとか、交通事故で腕が吹っ飛んだとか、そういうのも来るやつ)であるが、そういったところで研修医自己評価の負荷レベルやしんどさの結果も変わらないっぽいので、暇な日はどんどん暇だと口に出していいましょう!(フラグ
たぶん顔が(^o^) から(^q^) になると思います。
alpha <- 0.05 lambda <- 3 x <- 0:10 d <- dpois(x, lambda) plot(x, d, type="o", pch=15, lwd=3, xlab="No. of samples", ylab="Probability") abline(v=lambda, lty=1) abline(v=qpois(c(alpha/2, 1-alpha/2), lambda), lty=3)