Rで楽しむ統計 (Wonderful R 1)

読んだ。

Rで楽しむ統計 (Wonderful R 1)

Rで楽しむ統計 (Wonderful R 1)

COI:著者のつぶやくはよく見かけるけど知り合いではありません。
 
統計解析についてR を用いて解説している。
統計とR はかなり知っていることが前提。本の内容としては教科書というより、読み物。
これくらいの内容と外観の本は、某祭典にいけば1000円くらいで売ってそうなこともないけど、プロが書いているということでこんなもんだと思う。
内容は一部、ブログやツイートでも取り上げたような、「見たことあるぞコレェ…」なものもあり、この本は絶対買わねば!! というものではない。3章の2項分布、検定、信頼区間と、9章の回帰分析はかなり力とページを割いて書いてあるっぽいけど、他の章は「他の統計の教科書だと項目として挙げられることが多いから挙げたけど、本書のページの容量的にそんなに書けない」感が否めない気がしたので、これくらいの薄さと価格帯の本ならしょうがないと思った。
 
ただ、(古典的な)統計を扱ううえでの考え方は非常によく、例えば

p38 つまり、p<0.05 は最低限の基準で、これさえ満たせないのは論外であるが、あとはp値が小さいことより再現性があることのほうが大切だ、というわけである。

p40 これらの批判(ASAがp値もうやめない?って言ってるやつ)を読んでも、p値についての新たな欠陥が指摘されているわけではなく、最初からわかったことしか書かれていない。

p96 繰り返しになるが、有意な差はないという意味は、差がないことが証明されたということではなく(差は必ずある)、どちらが大きいかを判断するには標本が小さすぎるという意味である。また、仮に統計的に有意な差があったとしても、実質的に意味のある差があるとは限らない。
(中略)
R には分散が等しいという帰無仮説を検定するための関数 var.test() もある。これを使って、まず「分散が等しい」という帰無仮説が棄却されるかどうかを調べ、その結果に従って、等分散のt 検定かをする、という2段階検定を薦める人が非常に多い。おそらく「分散が等しい」という帰無仮説が棄却されなかったことで分散が等しいことが結論づけられるという誤解から来るのであろうが、帰無仮説が棄却されなかったと帰無仮説が正しいこととはまったく別のことである。

といった、帰無仮説検定についての考え方について言及がなされているし、ここには挙げきれない筆者の頭の中身が本文よりむしろ脚注のほうにあふれているので、そういう意味では見ておいたほうがよい。
 
というわけで、R で統計を楽しもうと思っている人は、タイトル詐欺なので回避したほうがいいが、統計そのものを勉強、というかひと通り勉強したので実際に統計を扱うときにどんなことを思って解析者はやっているのだろう、というのが知りたい人は買い。
 
次回予告
めっちゃ期待している。

COI:筆者とは顔見知り。こうやって宣伝しておけば贈呈待ってます!!
ただ、ブログ内容のただの焼き直しにならないことだけ祈っている。