最適解を探す

MikuHatsune2013-01-27

IMRTという治療がある。放射線治療のひとつなのだが、放射線治療を行うにあたって、CTによって体内臓器の位置を把握する必要がある。
CTは体を輪切りにしながら撮影するものだが、何mmの厚さでスライスを切ったか、当てたX線の範囲はどこまでか、というのがすべて位置情報で持つことができる。
あるボクセルを通ったときにX線が吸収され、それが臓器によって異なるから画像上は色が白黒ベースで濃さが変わって見える。この濃さの具合もスカラーで持つことができる。
というわけで、CTを撮ると、体内の位置情報を入手できる(呼吸や蠕動などで誤差はあるけど)。
 
放射線治療は目的の臓器に対してどれくらいの線量を当てたらいいかがだいたいわかっていて、いろんな角度から放射線を当てることによってその目的を満たす。昔は放射線が出る装置がひとつしかなくて、一方向からドバっとあてていたが、そうすると当てたい臓器以外のところにガンガン当たる。ということで、定位放射線照射という方法がとられる。これは、体のいろいろな方向(理論上極座標空間すべて)から放射線を出すことで、重ね合わせると目的の臓器にはたくさん、重ね合わせが少ないところは少ない線量があたる、という仕組み。
 
これをさらに進化させたのがIMRTである。位置が変わるのは従来の定位放射線照射と同じだが、照射する機械から出てくる線量が変えられる。これはどういうことかというと、照射野は一枚のベニヤ板みたいな面積をもっているが、定位放射線照射ではこのベニヤ板から出る線量はすべて一定なのに対して、IMRTではベニヤ板上で強い線量と弱い線量とを差別化できる、というわけである。
 
これまた別の進化を遂げたものがIGRTである。さきほどCTから座標を決めると言ったが、体内の活動により誤差が常に生じている。これによる放射線量のずれを補正するために、臓器が動いているのをリアルタイムで追尾して、効率的な照射を実現しようとするものである。動いているものを常に追いかけるパターンと、決めた照射座標に入ったときだけ照射するパターンとがあるらしい。
 
治療しなければならない臓器T_0(一回の治療で原則ひとつにしよう)があって、その臓器には体積V_{T_0}(x,y,z)がある。
放射線を当てたくない臓器O_n;\hspace{3}n=1,\hspace{3}2,\dotsにも体積V_{O_n}(x, y, z)がある。
T_0に対しては設定線量G\alpha以上あてなければ、治療効果は期待できない。
O_nに対しては各々決まる耐容線量R_nを超えないようにしないと、放射線障害が生じる。
放射線照射装置M_i;\hspace{3}i=1,\hspace{3},2,\dots,\hspace{3}mm個使う。その座標はT_0の重心を中心とする極座標f_{M_i}=(r, \theta, \phi)で決まる。
M_iは照射面積S_iを持ち、その面積上で照射強度I_i(S_i)を持つ。そして各々重み付けw_iができる。
放射線は臓器を通る間に、T_0O_nが持つ減衰定数的な何かで徐々に弱くなる。この定数を\delta_j;\hspace{3}j=\hspace{3}0,\hspace{3}1,\hspace{3}2,\dotsとする。
V_{T_0}(x,y,z)の各座標にあたった線量がJ_{T_0}(x,y,z)(%で)とすると、求めたい解は
\int J_{T_0} > \alpha \int J_{T_0}かつ\int J_{O_n}<\frac{R_n}{G};\hspace{3}\forall n
となるm, M, S, I, wを決めることになる。
分割照射で1回ごとの照射量とか臓器の変動とか照射時間とかパラメータがあるけどあとからどんどん思いついてしまったので今は保留。
 
というわけでやってみる。