遺伝統計学と疾患ゲノムデータ解析

書いた。
遺伝統計学と疾患ゲノムデータ解析
COI:著者謹呈。編集者とはズブズブの関係。
 
序文を引用すると、

学問の学びの最初の一歩は,背景となる基礎理論の丁寧な理解から始まる。第1章では,遺伝統計学の基礎理論について,日本を代表する専門家の先生方にご執筆いただいた。
ゲノム配列解読技術の発達により,大容量かつ多彩なゲノムデータが得られるようになった。エピゲノム・メタゲノムといった多彩なオミクス情報の展開も著しい。これらの最新技術の原理を理解し,その特性を活かしたデータ解析を行うことが重要である。第2章では,最新のデータ解析技術を駆使して活躍されている若手研究者にご執筆いただいた。
ゲノム情報の適切な社会実装を実現するためには,コホート研究,データシェアリング,個別化医療ゲノム創薬など,ゲノム情報と社会との接点に寄り添った活動が重要である。第3章では,本邦における社会実装の最前線での取り組みをご紹介いただいた。
一般論として,既存のデータ解析手法を適用することより,新たなデータ解析手法を生み出すほうが難しい。多くの研究者に認知され広く使われる手法を生み出すことは,なおさら困難である。しかし国際的なイニシアティブを獲得するためには,新規解析手法の構築においても存在感を発揮することが必須である。第4章では,ゲノム・エピゲノム解析とがんゲノム解析に分けて,独自の解析手法の開発者を対象にご執筆いただいた。
ゲノムデータ解析の現場の声を伝える目的で,新しい試みとして,本章とは別にコラムを設けた。

とある。この前にも、

近年では,疾患ゲノムデータを多彩な生物学・医学データと分野横断的に統合し,疾患病態の解明や新規ゲノム創薬個別化医療へと活用する際に有用な学問としても注目を集めている。しかし,遺伝統計学を担う人材は本邦では特に少なく,学問としての知名度も十分とは言い難い状況にある。

遺伝統計をやっている、と言っている人は本当に少なく、それ故何を学べばいいのか本当に分かりづらい、という状況である。なのでこの本は遺伝統計学に精通した専門家を集めて執筆されているのだが、専門家たちが自身の研究・業績について執筆したため、相当な知識がないと読みこなせない、というのがネック。
 
個人的には、遺伝現象から離れて、バイオインフォマティクスアルゴリズム屋が1章のデータの捉え方、や、4章のデータ解析手法のところ、を読むと、結構面白いと感じるのではないか、と思う。