1種類の薬剤を加えて、用量反応曲線を描いてきた。
世界的には2剤以上併用して、相乗効果があるかどうかを調べたい人がいるらしい。
臨床的には、例えば、悪性リンパ腫治療としてのRCHOP治療など、作用機序が異なる薬剤を少量ずつ使用することで、副作用を軽減しつつ抗腫瘍効果を高めよう、という多剤併用療法があるが、相乗効果では、作用機序が(ほぼ)同一(だが、細胞作用が異なるよう)な薬剤をちょびっとずつ使ったら、各々の薬剤の効果をただ足しあわせたものよりも、ものすごい効果が生まれるのではないか、ということを期待している(と思う)。
相乗効果を統計的に出したい、と思った人はいるようで、おなじみの有料ソフトPrismさんで検索すると
Does Prism do median-effect analysis for evaluating drug synergy?
No.
と言っているわりに、こちらでは
How can I figure out if two drugs are additive or synergistic?
……長文……
と言っている。median-effect analysisとは何かがよくわからないので、後者の方法をシミュレーションしてみる。
用量反応曲線の形は、簡単に
で、濃度に対して死亡している細胞の割合が返ってくることにする。
薬剤AとBが、独立に作用する、つまり、AとBを加えたら、各々の死亡率を足しあわせた、相加効果しか得られない、ということを帰無仮説とし、これを棄却することで、AとBは相加効果以上の相乗効果がある、という対立仮説を検定することにする。
薬剤A、Bによる曲線は、それぞれ
で与えられるものとする。
AとBが独立に作用する、ということは、Aでまず細胞を殺し、その後、残った細胞をBで殺すことに相当するから、A(濃度)とB(濃度)を併用することによる死亡は
という3次元曲面が得られる。
#適当にHill係数をおく。 n1 <- 7 n2 <- 12 #適当な曲線。 f1 <- function(x1){ 1/(1 + exp(-n1*x1)) } f2 <- function(x2){ 1/(1 + exp(-n2*x2)) } #独立モデル。 fz <- function(x,y){ f1(x) + f2(y) - f1(x)*f2(y) } library(rgl) x <- seq(-1, 1, length=100) y <- x #3次元プロット用にz点を作成する。 z <- 100 - outer(x, y, fz) * 100 #100%に変換しておく。 col.slice <- 15 #死亡率ごとに色付けするための、濃度段階の設定。 persp3d(x, y, z, col=rainbow(col.slice)[z/(max(z)) * col.slice + 1], xlab="A conc", ylab="B conc", zlab="viability [%]") #rgl.snapshot("synergy.png") #3次元プロットを写真に撮れるらしい。
CombiToolという何か(pdf)。まだ読んでいない。
薬理学総論というこちらのページによると、synergyは相乗効果ではないらしい…
ライフサイエンス辞書だとsynergy=相乗効果(potentiation)らしいが…