意識障害(担当MO)

68F
意識障害
救急車で搬送
ABCに異常なし
JCS2点
 
意識障害は定常状態よりもむしろ増悪していくことが多い。
定点比較することが重要。
 
意識障害の鑑別:AIUEOTIPS
A:アルコール
I:インスリン
U:尿毒症
E:脳症、ホルモン、電解質
O:酸素、麻薬
T:外傷、体温
I:感染
P:精神疾患ポルフィリン症
S:失神、脳血管障害、てんかん、ショック
 
緊急度で言うと
低酸素、低血糖、体温異常
意識障害でER受診の患者は、病歴に関係なくブドウ糖チアミンを投与すべき。
 
JCS2なので、問診しよう
O:今朝から受け答えがおかしい。
T:きっかけは特になし。初回。
7週間前から腰痛
タバコ20本50年
お酒は飲まない
12年前から2型糖尿病。コントロール良好。α-グルコシダーゼ阻害薬
2週間前から食欲低下、全身倦怠感、夜間頻尿
2ヶ月で71kgから69kgに減少
建築業
 
身体診察
BT36.2 RR18 BP124/70 HR66 整
浮腫はない
貧血所見なし
腰椎に叩打痛あり
肝脾腫はなし
血管雑音はなし
心音、肺呼吸音正常
神経学的症状は正常
眼底所見正常
腹膜刺激症状なし
左頸部リンパ節1.5cm
ツルゴール低下
 
problem lists
意識障害
左頸部リンパ節腫脹
体重減少、食欲低下
夜間頻尿
皮膚ツルゴール低下
全身倦怠感
糖尿病
腰痛
 
ちょっと視点を変えて
腰痛を考える:メカニカルor非メカニカル
進行性
安静時に改善しない
体重減少
重症疾患が隠れている可能性
 
リンパ節腫脹を考える
悪性リンパ腫
悪性腫瘍転移
感染症:かぜ症候群、EBV、CMV、HIV、インフルエンザ、結核
川崎病
膠原病(特に見逃してはならない)
サルコイドーシス
 
鎖骨上リンパ節:最も悪性のリスク高い
右:縦隔、肺、食道
左(Virchow):消化管
頸部リンパ節:感染と悪性疾患
解剖学的に隣接しているが、鑑別すべき疾患は異なる
 
1cm以上が異常。
圧痛:炎症性が多い
石様:転移
硬いゴム様:リンパ腫
軟:リンパ腫
 
ということを考えると、メカニカルな腰痛では説明がつかない
 
検査
血液検査
BUN 46 Cr 2.9 Ca 16
腎不全、著名な高Ca血症、代謝性アルカローシス
意識障害の原因:電解質異常
 
高Ca血症
8.5~10.5 mg/dl
>13で悪性腫瘍を疑う
14~15以上では不整脈、心停止の危険
 
治療
生理食塩水、利尿薬、サケカルシトニン
 
高Ca血症の原因
副甲状腺
悪性腫瘍
これらで>90%
ビタミンD
代謝異常
 
なので、intactPTH、PTH-rP、腰部X線写真
PTH-rPが高値
圧迫骨折所見あり
 
頸部リンパ節生検、腰椎L1生検
診断:DLBCL
CD20陽性で、RCHOP療法
 
説明がつく
意識障害:高Ca血症
左頸部リンパ節腫脹:DLBCL
体重減少、食欲低下:B症状
夜間頻尿:高Ca血症
皮膚ツルゴール低下:頻尿
全身倦怠感:高Ca血症
糖尿病
腰痛:DLBCL
 
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