数学モデルで微分方程式を作ろうの第4章。
4.1はじめに
4.2広告に対する売上げ反応
4.3美術品の贋作
4.4電気回路
4.5魚の個体群の資源開発
4.6新古典派の経済成長
4.7五大湖の汚染
4.2広告に対する売上げ反応
商品は広告しないと売上が落ちる。
今、売上の定常的減少の仕方が直線的だったので、販売速度、時刻、定数、を用いて
とできる。これは、人口問題でも扱った
…(1)
と同じである。
さて、ここで広告普及率、市場飽和度として、広告の効果を考える。
飽和度は人口問題の修正や技術革新でも扱った。
売上の増減は、広告普及率と市場飽和率に影響を受けるから、(1)式は
(は定数)
となる。整理すると
となる。とすれば、積分因子はとなるので、解くと
広告開始した時刻[tex=0]で売上とすれば、なので、最終的に
となる。
広告終了後は、(1)式の挙動を示す。
Stime <- 1 #観察期間 Stimes <- seq(0, Stime, length=1000) S0 <- 100 #広告開始時の市場に出ている具合 r <- 0.1 #広告係数 lambda <- 0.001 #減少係数 A <- 100 #広告速度 M <- 1000 #市場最大数 S <- numeric(length(Stimes) * 2) S[1] <- S0 for(i in 1:(length(Stimes) - 1)){ dS <- r * A - (r * A / M + lambda) * S[i] S[i + 1] <- S[i] + dS } for(i in length(Stimes):(2 * length(Stimes) - 1)){ dS <- - lambda * S[i] S[i + 1] <- S[i] + dS } S <- S / M #市場独占度に変換 plot(S, ylim=c(0, 1), type="l", xlab="time", ylab="market ratio") abline(v=length(Stimes), lty=2, col=2)
4.5魚の個体群の資源開発
魚の漁獲量を、魚の個体の大きさと、魚の群れの規模から考えたい。
個体の大きさについて
ベルタランフィモデルによると、ある定数、を用いて
となる微分方程式ができる。これは、ベルヌーイの微分方程式
の特別な場合らしい。変数変換、つまりとすることで
という線型1階微分方程式に帰着できる。これは、積分因子を用いて
となる。
ここで、のときとすれば、である。
また、とするとであるから、結局
となる。
群れの規模について
稚魚である初期状態の群れが、時間経過でどうなるかは、
と考えていいだろう。
ここで、漁獲努力は行うけれども、ある時刻才以下の魚は小さいので獲らない、とすれば、
のとき、(での新しい初期値)
のとき、(魚の減少はとより早くなる)
となる。漁獲高を求めるには、をすべて足し合わせればいいから、才で獲られてしまった魚の数をとすれば
という、とを変数とする関数になる。
ただし、魚の供給は考えていない。
R <- 0.003 #魚の群れの減衰定数 n0 <- 10 #魚の群れの初期値 beta <- 0.25 #魚の大きさの定数 winf <- 10000 #魚の最大の大きさ Mmin <- 20 #漁獲していい最小の年齢 Gyokaku <- function(M, Fg){ time <- seq(M, 100000, length=1) result <- winf*(1 - exp((-beta/3)*time))*Fg*n0*exp(-R*M)*exp(-(R + Fg)*(time - M)) return(sum(result)) } len <- 300 M <- seq(1, 300, length=len) Fg <- seq(0, 10, length=len) GyokakuRes <- matrix(0, nr=length(M), nc=length(Fg)) for(i in 1:nrow(GyokakuRes)){ for(j in 1:ncol(GyokakuRes)){ GyokakuRes[i, j] <- Gyokaku(M[i], Fg[j]) } } GyokakuRes[1:Mmin, ] <- 0 image(M, Fg, GyokakuRes, xlab="Fish age", ylab="Fish catch effort") library(rgl) col.slice <- 15 #濃度段階の設定。 colpalet <- rainbow(col.slice)[GyokakuRes/(max(GyokakuRes)) * col.slice + 1] persp3d(GyokakuRes, col=colpalet, xlab="Fish age", ylab="Fish catch effort" , zlab="Fish catch")
4.6新古典派の経済成長
新古典派経済というものがあるらしい。
4.7五大湖の汚染
湖のような、ある巨大な容器の中の水が汚染されてしまい、それをどうにか浄化する作業を考える。
条件として、
・降雨量と蒸発量は互いに釣り合っている
・水が湖に流入するときは、完全な混合が起こり、汚染物は一様に分布する
・汚染物は流出によってしか、湖から除去されない
として考える。
:湖の容積
:湖の汚染度
:湖への流入物の汚染度
:流率
とすると、微小時間の間で全汚染物の正味の変化は
となる。これは
となる線型1階微分方程式である。積分因子はであり、これを用いると
となる。
汚染物の流入が止まったとき、つまりのとき
となる。これは、現在規定されている水準のパーセンテージまで汚染を減らすのに要する時間らしい。
はRainy値と言われるものらしく、五大湖それぞれ既にある。
初期状態から何パーセント汚染が減るか、それにかかる時間が計算できる。