3.3ロケットの飛行

ロケット工学の話。
ロケットを宇宙へ飛ばすとき、推進力として推進燃料をちょっとずつ放出するらしい。
質量mのロケットが速度vで進んでいるとき、微小時間dtの間に微小質量dm_p、速度uで放出したとすると、ロケットは質量m-dm_p、速度v+dvとなる。
ニュートンの第二法則より、力F
\begin{align}F&=\frac{d}{dt}m\mathbb{v}\\&=\frac{\{(m-dm_p)(v+dv)+dm_p(-u)\}-mv}{dt}\\&=m\frac{dv}{dt}-(v+u)\frac{dm_p}{dt}\end{align}
放出燃料m_pはもともとロケットmのの変化量なので、\frac{dm_p}{dt}=-\frac{dm}{dt}なので、これを用いると
F=m\frac{dv}{dt}+(v+u)\frac{dm}{dt}
 
まず、外力がないF=0の状態を考えると、
\frac{dv}{dm}=-\frac{c}{m}
となり、3.2刺激に対する反応と同じになる。これを解くと
v=-(v+u)\log m+A
初期時刻t=0v=0m=m_0+Pとする。Pは有効搭載量、m_0は初期のロケットの質量である。m_0は初期燃料の質量\epsilon m_0\hspace{5}(0\leq\epsilon\leq1)と、外装部分などの(1-\epsilon)m_0に分けられる。ここで、(1-\epsilon)はロケットの構造係数というらしい。
さて、初期条件からA=(v+u)\log(m_0+P)、初期燃料\epsilon m_0が全て燃え尽きた時m=(1-\epsilon)m_0+Pとなることを用いると
\begin{align}v&=-(v+u)\log(\frac{m}{m_0+P})\\&=-c\log(1-\frac{\epsilon}{1+\beta})\end{align}
となり、
相対速度:c=v+u
初期燃料比:\epsilon
ロケット全質量に対する人工衛星の質量比:\beta=\frac{P}{m_0}
のパラメータにより速度が決まる。c=3.0km/s\epsilon =0.8\beta =0.01くらいにすると、v_1=4.71km/sくらいの速度が出る。

v <- 3
epsilon <- 0.8
beta <- 0.01
-v*log(1 - epsilon/(1 + beta))

 
この人工衛星が地表から高さhで安定軌道に乗ることを考える。地球半径R_e、地球質量M_e万有引力定数Gとすれば、安定軌道では回転中心からの距離R_e+hでの万有引力\frac{GM_em}{(R_e+h)^2}と遠心力\frac{mv^2}{R_e+h}が釣り合うから
\frac{GM_em}{(R_e+h)^2}=\frac{mv^2}{R_e+h}
v=(\frac{GM_e}{R_e+h})^{\frac{1}{2}}
地表から高さ100kmくらいで安定させようと思うと、v=7.86km/sとなり全然足りない。

G <- 6.67259*10^-20
Me <- 6*(10^24)
h <- 100
Re <- 6378.137
(G*Me/(h+Re))^(1/2)

 
1段ロケットでは無理だったので、2段ロケットにしよう。第1段目が質量m_1、第2段目が質量m_2とすると、第1段が燃焼するまでに\beta=\frac{m_2+P}{m_1}とした
v=-c\log(1-\frac{\epsilon m_1}{m_1 +m_2 +P})
となる。
第2段階は初期質量m_2、搭載量Pになるから、第2段階での速度は
-c\log(1-\frac{\epsilon m_2}{m_2+P})
最終的な速度は
v_2=-c\log(1-\frac{\epsilon m_1}{m_1 +m_2 +P})-c\log(1-\frac{\epsilon m_2}{m_2+P})
となる。m_1=m_2で上の条件を使うと、v_2=6.2km/sとなる。が、まだ足りない。
 
理論的には第n段ロケットを作ればいいだろう。上で、m_1=m_2としたので、m_1m_2をうまい比で作ることで速度を向上させたい。
m_0=m_1+m_2を一定に保ちながらv_2をを最大にするには、m_1=m_0-m_2として、m_2についての関数とみる。
v_2が最大の時、\frac{dv_2}{dm_2}=0だから
v_2=-c\log\{1-\frac{\epsilon (m_0-m_2)}{m_0 +P}\}-c\log(1-\frac{\epsilon m_2}{m_2+P})
\frac{\frac{\epsilon}{m_0+P}}{1-\frac{\epsilon(m_0-m_2)}{m_0+P}}=\frac{\frac{\epsilon P}{(m_2+P)^2}}{1-\frac{\epsilon m_2}{m_2+P}}
これを簡単にすると(マジ?)
(1-\epsilon)(m_2^2+2Pm_2-Pm_0)=0
\epsilon \not=1なので、
m_2=-P+(P^2+Pm_0)^{\frac{1}{2}}
\beta=\frac{P}{m_0}m_1=m_0-m_1を用いると、比\frac{m_1}{m_2}
\frac{m_1}{m_2}=(1+\frac{1}{\beta})^{\frac{1}{2}}
と取ればよい。\beta=0.01では、\frac{m_1}{m_2}がおよそ10となるので、m_1m_2の10倍となるようにすればよい。このとき、v_2=7.65km/sとなり、そこそこ良くなった。