エビデンスはあるのか、というとほとんどないに等しい

読んだ。

COI:とあるポイントが期限が迫っていたので新品で買うはめになった

3000円くらいでB5版200ページもないので2時間もあれば読める。
エビデンスに基づくと自信をもって言えますか?と帯で煽っておきながら、エビデンスに基づいたことはあまり記載されておらず、自分が想定していたエビデンスとは違った。
positive list とnegative list に分けて記載しているが、自分が想定していたのは、「○○という薬剤or手技は予後に良いor悪いことがエビデンスとしてあるので、やる(やらない)べき」みたいなことを想定していたが、実際に書かれていたのは(例:2章の血管収縮薬)
positive list
血管収縮薬は臓器灌流を増加させる (そんな一般的な概念を語られても…)
血管収縮薬の違いによる死亡率に差はない (こういう話を読みたかった)
血管収縮薬は心拍出量を増加させる(前負荷増加) (と書いておきながら)

negative list
血管収縮薬は心拍出量を減少させる(後負荷増加) (機序の違いがあるのは分かるけど前項と言ってることが矛盾する。結局臨床的にどっちかになるのでは?)
vasoplegic shock には臨床背景の異なった検討が多く、まだ明確な定義はない (ほとんどの項でこうなる)
人工心肺後のvasoplegic shock時の血管収縮薬選択のエビデンスはほぼない (ほとんどの項でこうなる)

と、当たり障りのないことに終始してて読み応えはなかった。
面白かった章は後半のエキスパートオピニオンの項で、胸部大動脈瘤の手術でひだり上肢に取った静脈路が、無名静脈損傷されたためまったく役に立たなかった、とか、エホバの無輸血手術が予後がどうなったか、とかが興味深かった。
CPBで血圧50維持が好きな外科医がいるがINVOS 40台で(これは脳みそイッたな…)と思ってても意外と脳機能障害がなかったり、レジデントにカテコラミンルートフラッシュされてMVPなのに血圧200になって(これは心臓イッたな…)と思っても心臓破裂しなかったりと、よくわからない。