第五章 死の仲違いに関する統計
データの収集と統計解析に関して
「戦争」の定義
事件性のある人殺しや、そこまで暴力的でない出来事もいれる。
一方で、
- 事故
- 自然災害
- 複数の原因が強く絡み合っているもの(戦争に伴う飢餓・病気による死者)
は数に入れない。
各々のイベントを、死者数で分ける。
常用対数をとれば、
- 人間の暴力の広範な領域全体を単一の尺度で調べられる。
- 十分なデータが得られない事態を、誤差0.5で評価できそう。
戦争が
とあって、ある戦争が次の戦争に影響がある(因果関係)、またはなんかの要素がとに関係していると、戦争が非独立に起きる。
本中のリチャードソンは、マグニチュード(常用対数)2.5以上の315件の戦争を、時間的に独立に勃発する、という帰無仮説を立てて検証した。
マグニチュード4の戦争だけ集めて、戦争がn回勃発した年の数の分布を作成すると、ポアソンっぽくなるらしい。
帰無仮説が棄却できず、ランダムでないとは言えない。
時系列で並べたが、統計解析ではランダムさを否定できなかったらしい。
その後、地理、経済、文化etcで解析したら、隣り合う小国と宗教という項目で、戦争勃発との関連がありそうだったが、あまり大きな影響力があるわけでもなく、無作為しか残らなかった。
今日の範囲で思ったことで、今まで講義でやってきた社会医学で医療統計の先生が言われていたことだが、統計学的に有意差あり(なし)が、医学的にも有意差あり(なし)かを必ずしも表わしているわけではない、ということだ。
本中に、リチャードソンがあれこれ検定して無作為しか残らなかったから、まるで分子運動のように人々が戦争するか、というと、そうでもない(と私も信じている)。
交絡のときにも学んだが、背景にある事象を見抜かないと解釈は難しい。
時間的に独立ならポアソン分布に従う、というのはよくある手法のようだが、空間的に戦争の勃発が独立か、というのはどう考えるか、というのでこちら。
20120412追記
こういう本があるらしい。
歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: マーク・ブキャナン,Mark Buchanan,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/25
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