カルテの書き方とカルバペネム(担当MO)

MikuHatsune2013-01-09

カルテの書き方としては、プロブレムリストを挙げ、そのプロブレムをきたす原因の鑑別(疑いs/oと除外r/o)、治療計画Tx、検査Dxを列挙する。
各プロブレムは個別に考えるが、後々一元的に説明できるようになったら、深化、診断、統合、移行、訂正、取消、治癒、終了などとステータスを日付とともに更新する。
カルテは自分だけでなくコメディカルも見るので、に思考プロセスをわかりやすく残しておくことは勉強のためにもチーム医療のため重要である。
 
リンクの例
#1.全身性圧痕性浮腫…高齢で心血管リスク因子を持つ患者の,亜急性経過で進行する全身性浮腫。
S/O 糖尿病性腎症または良性腎硬化症によるネフローゼ症候群(∵併存症や経過,検査結果から矛盾せず)
R/O 慢性心不全,肝硬変,腎不全(∵症状・採血・胸部Xpから疑いは低いが要評価)
R/O 急速進行性糸球体腎炎・血管炎症候群,感染症(感染性心内膜炎他)(∵全身状態等から可能性は低いが,診断や治療の遅れが命にかかわり要検討)
まず検査を進め鑑別診断を狭めつつ,腎臓内科に早期コンサルト。診断確定までの間,食事と利尿剤増量で反応を見る。
Tx:減塩6g・蛋白制限40 g食,フロセミド40mg 1×を追加。
Dx:連日,体重・尿量・下腿周囲径とバイタルチェック。週2回,腎機能・尿検査評価。採血で○○追加。腎臓内科○○医師コンサルト。
Ex:安静度と薬物変更の説明,今後の検査プランと検査結果説明日の連絡。栄養士から上記食事療法の説明。
#2.…以下、それぞれについてまずは個別に記述する。
 
形容詞をつけることによって限定(全身性、急性、慢性など)。これにより評価が変わってくる。これをsemantic qualifierというらしい。
 
ショックについて
何らかの理由で血流が低下することによって生じる全身組織への酸素供給の低下
血圧低下がなくてもshockは生じうる。
乏尿、冷汗
分類
hypovolemic:出血、脱水
cardiogenic:AMI
obstructive:緊張性気胸心タンポナーデ
distributive:敗血症、神経原性、アナフィラキシー
ショックをきたす機序としては
拡張期終末容積↓:出血、心タンポナーデ
収縮期初期容積↑:HCM、DCM、AS、AMI
脈拍↓:AVブロック、SSS、WPW、VT
全身血管抵抗↓:アナフィラキシー
 
カルバペネムの話
感染症の三角形
臓器―重症度―原因微生物
 
丁寧な問診と診察であたりをつける
フォーカルサインとは?
関節臓器に特異的な症状。
 
原因微生物
グラム染色、培養検査
抗菌薬を始める前にやる
 
重症度
バイタル
 
カルバペネム
イミペネム(チエナム)
メロペネム(メロペン)
非常に高域な抗菌薬
グラム陽性菌グラム陰性菌(特に緑膿菌)、嫌気性菌に効く。
乱用されまくり。
 
カルバペネムは1st choiceにならない。
例外:院内感染、重症例、壊死性筋膜炎

 
血液培養(PDF)
血液中に菌の存在が臨床的に疑われるとき
2回の採血で4本のビン(好気性、嫌気性)1セット20ml
小児科は1セット(理由不明。手間?)
 
敗血症で血液培養はどれくらい陽性になるのか
JAMA
 
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救急でのアプローチ

General assessmentをして
normal, sick, emergencyに分類
 
Primary assessment
Airway, Breathing, Circulation, Dysfunction of CNS, Exposureの評価に入る
順番に行い、前の評価が終わらないうちに次に進んではいけない原則
A:声を出せるか、スーハー言っているか
B:SpO2, RR, 胸郭の上下、呼吸音、努力呼吸
C:CRT (capillary filtration time), 撓骨動脈触知、PR, BP
D:対光反射、瞳孔径、GCS/JCS, 血糖値
E:体温、皮膚外観(外傷、皮疹)
 
Secondary assessment
問診と身体診察により、原因疾患を検索
 
Tertiary assessment
様々な検査により、原因疾患を検索
 
23M
主訴:腹痛
A:well
B:SpO2 98% RR > 20
C:HR > 100 bpm BP 120/80 mmHg
D:good
E:BT 38.3
 
O:4時間前にご飯を食べてから。肉じゃが
P:右下らへん
既往歴:特になし
家族歴:特になし
内服薬:なし
喫煙:なし、機会飲酒
アレルギーなし
ゆるい便あり、排尿あり
冷や汗、吐き気あり
 
結膜貧血なし
扁桃腺腫大・発赤なし
リンパ節腫脹なし
肺音清
心雑音なし
叩打痛なし
腹部:触診で心窩部痛、押されたとき痛い
Murphy(-)
 
検査
腹部エコー
腹部CT
 
急性虫垂炎
 
72M
主訴:息切れ、痰
A:good
B:SpO2 90% RR 26 いびき音、呼気延長
酸素をいれましょう
呼吸停止になったようです→血液ガス
挿管してSpO2 97%
C:撓骨動脈触知良好、PR 90 BP 140/78 mmHg 左右差なし
D:good
E:BT 36.7
 
喋れない患者さんから問診をとる
O:10年以上前から
T:だんだんひどくなってきた
肺や喉の病気を指摘されたことがある(COPD
喫煙:多い
内服薬あり
喘息(-)
アレルギー(-)
先行感染あり
 
胸鎖乳突筋の肥厚
肺:いびき音
心:異常なし
 
検査
胸部X線写真
 
COPDの急性増悪
モラクセラ・カタラーリスによる感染が多い。
CO2ナルコーシスを恐れて酸素投与が遅れてはならない。
 
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眼球突出・皮下出血(担当EI)

3F
外傷
眼窩底骨折
内頚動脈海綿静脈洞瘻

疾患
バセドウ病

膿瘍
副鼻腔炎

腫瘍
悪性リンパ腫

虐待


問診
親ときた
O:1ヶ月前くらいから。眼科受診したが経過観察
初めて
元気そうではある
発育異常はなかった
お腹が張っている感じ

家族歴:特になし
内服薬:便秘がひどく、それに対する薬

腹臥位で眼球突出が著明になれば、眼窩静脈瘤を考える。

診察
発育に異常なし
不機嫌
BT 37.0 BP 98/54 mmHg PR 124 bmp RR 30 /min
貧血あり、眼球結膜充血、粘膜下出血
右眼のほうがより突出している
眼に異常なし
腹部:著明に膨瘤、左腹部に腫瘤触知、著明に肝を触れる

腫瘍が怪しい?
EBV
肝芽腫
WT
リンパ腫
神経芽腫!!!!!

LDH著増、NSE

神経芽腫、WT、肝芽腫はセットで覚える
神経芽腫は正中を越えうるが、WTは越えない。
神経芽腫
眼や脳に転移しやすい。
白血病についで多い。
 
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浮腫(担当KY)

62F
両側下腿浮腫
毛細血管静水圧
血漿膠質浸透圧
間質静水圧
間質膠質浸透圧
血管透過性

問診
BMI 38
O:数週間前から
T:朝軽いが、夕方ひどい
押したら痕がのこる
息切れなしだが、階段昇降で息切れと胸痛あり
先行感染なし
下痢なし
食事良好
学校の先生
喫煙なし(20年前に20年*数本)
飲酒なし

既往歴:長期の高血圧だが、薬物管理良好
内服薬:降圧薬(チアジド系)、βブロッカー、CCB

身体診察
BMI 38 BT 36.5 BP 130/80 PR 84 RR 16
頭頸部:n.p. 以前から著変のない甲状腺腫(良性所見)。頚静脈は評価不能
心:S1(→)S2(→)S3(-)S4(+)
肺:清、左右差なし
腹部:腫瘤なし。肝脾触知しない。CVA叩打痛(-)
神経:n.p.
pitting edema

プロブレムリスト
#pitting edema
#HT
#S4 heart sound
#労作時息切れ、胸痛
#obesity


DDx
systemic
心不全
肝不全
ネフローゼ
アナフィラキシー
IE
PE
肺高血圧症
SAS(心疾患のリスクになる)

local
リンパ浮腫
DVT
下肢静脈瘤
蜂窩織炎
腫瘍

検査
BUN 15 mg/dl Cre 0.9 mg/dl Alb/Cre 5
AST 22 IU/l ALT 24 IU/l ALP 164 IU/l LDH 150 IU/l Alb 4.5 g/dl PT 10sec

ECGでの、右心房負荷所見51%/86%
肺動脈圧 40mmHg 肺高血圧症の感度と特異度 79%~100%/60~98%

この時点で、PE、肺高血圧症、下肢静脈瘤が残っている。

D-dimerは(-)だった。
SnNOutから、PEを除外すると、肺高血圧症と下肢静脈瘤がのこる。

特発性肺高血圧症の確定診断は、右心カテーテルのみ。
この検査をやる?

右心カテーテル拒否
1マイル歩いても息切れしない。
浮腫がきつくなるのは長時間歩いたとき。

下肢静脈瘤?
下腿エコー 84%/88% (LR+=7) で陽性
弾性ストッキングで症状改善


64F
右腕浮腫、発赤、疼痛
乳房切除後、長期に渡り浮腫。2日前より症状出現。
右乳癌で切除、化学放射線療法。術後化学療法TAM。
リンパ浮腫が皮膚感染症の温床。
癌既往、TAM、放射線治療瘢痕。
蜂窩織炎、丹毒
DVT
 
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検査と臨床判断(担当YF)

MikuHatsune2012-11-24

病気であるD^+、病気でないD^-
検査陽性であるT^+、検査陰性であるT^-
としたときに、目の前の患者がある病気である事前確率P_{pre}=P(D^+)が、検査をすることによってどう上がったり下がったりするかの事後確率P_{post}=P(D|T)定量的に考える。
いま、感度S_n=P(T^+|D^+)、特異度S_p=P(T^-|D^-)の検査が陽性となったときの事後確率P_{post}=P(D|T)
P_{post}=\frac{S_nP_{pre}}{S_nP_{pre}+(1-S_p)(1-P_pre)}
ここで、オッズがOdds(P)=\frac{P}{1-P}となることを考えると、上の式は
Odds(P_{post})=\frac{S_n}{1-S_p}Odds(P_{pre})
となる。いま、LR^+=\frac{S_n}{1-S_p}として、陽性尤度比と定義すると、事後確率は
P_{post}=\frac{LR^+P_{pre}}{1+P_{pre}(LR^+-1)}
となるので、これをプロットすると

#事後確率を計算する
Po <- function(Pr, LR){
	(LR * Pr)/(LR*Pr + 1 - Pr)
}
#尤度比
#LR <- seq(0, 30, length=100)
LR <- c(1/10, 1/5, 1/2, 1, 2, 5, 10)
Pr <- seq(0, 1, length=100)
#事後確率の計算結果
Ppost <- matrix(0, length(Pr), length(LR))
for(x in 1:length(Pr)){
for(y in 1:length(LR)){
	Ppost[x, y] <- Po(Pr[x], LR[y])
}}
dimnames(Ppost) <- list(round(Pr, 2), LR)

matplot(Pr, Ppost, type="l", lty=1, col=1:length(LR), lwd=3, xlab="pre probability", ylab="post probability", main="probability trantision by test")
legend("bottomright", legend=paste("LR", LR), bty="n", col=1:length(LR), lty=1, lwd=3)


とは言うものの、こんなことを臨床の現場でいちいち計算しているヒマはないため、Steven McGeeというお偉いさんが

Evidence-Based Physical Diagnosis, 3e

Evidence-Based Physical Diagnosis, 3e

\begin{matrix}LR&10^{-1}&5^{-1}&2^{-1}&1&2&5&10\\probability&-45%&-30%&-15%&0%&15%&30%&45%\end{matrix}
ぐらいに相当するんじゃね?ということを言っているらしい。
LR=6とかなったらどうするの?という話には、5よりちょっと大きいくらいだから35%-40%くらいでいいんじゃね?という考えと、
事象が独立なら確率は足してもいいみたいなうろ覚えな数学を持ち出すと、6=2*3→15%+(15%+α)=35%-40%くらいという感じでいけるらしい。
事前確率と事後確率の差をプロットするとこんな感じ。

matplot(Pr, Ppost-Pr, type="l", lty=1, col=1:length(LR), lwd=3, xlab="pre probability", ylab="post probability", main="probability trantision by test")
abline(h=c(-3:3)*0.15, lty=2)
legend("bottomleft", legend=paste("LR", LR), bty="n", col=1:length(LR), lty=1, lwd=3)


 
というわけで例題。
あるインフルエンザ迅速診断キットは、感度/特異度が60%/90%らしい。
事前確率がそれぞれ50%, 10%, 80%の場合で、検査が陽性になった場合の事後確率を簡易法と真面目法で計算すると
LR^+=\frac{0.6}{1-0.9}=6\to +35%
\begin{matrix}pre&brief&accurate\\50%&85%&86%\\10%&45%&40%\\80%&100%&96%\end{matrix}
となり、かなりいい線いく。ノモグラム要らない。
 
40歳男性が急性発症の強い前胸部痛を訴えて来院した。いつもの通り出勤し、仕事を始めたとたんに痛みにおそわれた。その時、特に強い労作はなかったという。以前に1度類似の痛みはあったが、これほどひどくはなく、我慢していると10分ほどで軽快した。今回の痛みは30分以上続いている。170cm、78kg。喫煙歴は1日20本、20年。血圧正常。他に特記すべき既往歴や家族歴はない。
という患者が来た時、おそらく50%くらいで心筋梗塞を疑うだろう。ここで、CKを測定したら、文献的には感度と特異度が
80IUでは93%/87%
280IUでは42%/99%
らしい。陽性尤度比はそれぞれ7.2→40%, 42→70%くらいの上昇。
\begin{matrix}CK&brief&accurate\\80IU&90%&87.7%\\280IU&100%&97.7%\end{matrix}
 
次は陰性尤度比を考える。陰性尤度比は上の式をP_{post}=P(D^-|T^-)として求めればいいから、LR^-=\frac{1-S_n}{S_p}となる。
P1:55歳男性の高血圧患者。労作時に胸骨下の絞扼感を4週間繰り返す。痛みは、あごと左肩から上腕に放散することもある。階段昇降によって生じることが多く、3から5分にて自然軽快する。
P2:30歳男性、これまでは健康で、冠動脈のリスク要因はない。6週間前より、安静時に胸骨下方から上腹部にかけて絞るような痛みが続いていた。痛みは、食後仰臥位で安静時に起こることが多いという。
P3:45歳男性、特に既往歴と冠動脈のリスク要因はない。3週間前より前胸部と胸骨下の疼痛を繰り返す。痛みは刺すような感じだが、時には絞扼感を生じる。労作時にも安静時にも生じる。胸部診察で、胸部肋軟骨部に特に圧痛があるが再現性に乏しい。
という3人の患者が来たとする。このとき、事前確率はそれぞれ90%, 5%, 50%くらいだろうか。
この患者たちに対して、感度と特異度が60%/90%の検査をして、心筋梗塞の可能性がどうなるか考えたい。
陽性尤度比は6→+40%, 陰性尤度比は0.44→-20%くらいと考えられるので、
\begin{matrix}patient&pre&positive&negative\\P1&90%&99.9%&70%\\P2&5%&45%&0.01%\\P3&50%&90%&30%\end{matrix}
 
真面目に計算すると
\begin{matrix}patient&pre&positive&negative\\P1&90%&98.2%&80%\\P2&5%&24%&0.023%\\P3&50%&85.7%&30.8%\end{matrix}
事前確率が極端に高いP1と低いP2では、事後確率の変動があまりない。検査をするのが有用なのは、P2みたいな中途半端で困る場合。
 
さて、尤度比を考えると、よくあるSpPIn SnNOutがよくわかる、と思う。
LR^+=\frac{S_n}{1-S_p}において、S_pが1に近づけば近づくほど、LR^+は大きくなる。
ということで、特異度が高い検査が陽性だと、確定に近づく。(Specificity positive rule In)
LR^-=\frac{1-S_n}{S_p}において、S_nが1に近づけば近づくほど、LR^-は小さくなる。
ということで、感度が高い検査が陰性だと、除外に近づく。(Sensitivity Negative rule Out)
 
今回の話は、K病院のT先生のレクチャーを元に構成されています。T先生ありがとうございました。
 
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構音障害(担当AM)

65M
右半身が動かしにくい
昼頃、取引先にて右半身の動かしにくくさを自覚、アクセルとブレーキの踏み間違えあり。
帰宅後、近くの車に衝突。家族が気づき、救急要請。
 
血管
脳出血
脳梗塞
慢性硬膜外血腫
前脊髄動脈梗塞
レビー小体
 
神経
腫瘍
てんかん
頚椎症
MS
ALS
PD
OPLL
GBS
 

筋肉疲労
PM
その他
 
薬剤性
外傷
 
問診
今までにこんな症状はない。
右半身が全体的に動かしにくい。
ちょっとしゃべりにくい。
受け答えはしっかりしている。
しびれはない。
いままでは元気だった。外傷した記憶もない。
奥さん、息子と暮らしている。
既往歴:HT、DM、アルコール性感障害、左被殻脳出血(3年前)
既往歴:父HT
職業:社長
内服:降圧薬、グリニド薬、下剤
飲酒:焼酎2〜3合/日、喫煙:なし(30-40本、40年)
アレルギー:なし
 
BT 37.3度, PR 101 bpm, BP 178/90 mmHg
脳神経系異常(-)
MMT 上肢下肢 5/5
眼球運動異常(-)
トーヌス異常(-)
腱反射異常(-)
異常反射(-)
Barre 右上下(+)
表在感覚:右上下触覚↓、右上下振動覚↓、右上下温痛覚↓、右上下位置覚
Romberg test(+)
回内回外試験:右↓
指鼻指試験:右↓
gait: 危なげでやらなかった
 
血液検査
大球性貧血気味
肝胆道系酵素上昇
 
ECG:洞調律、ST変化(-)
頭部CT:左視床に出血像
頭部MRI:異常(-)
頭部MRA:異常(-)
 
高血圧性脳出血
穿通枝の破綻
リスクファクター:男性、アルコール、肝機能障害
 
治療
意識障害、脳ヘルニアあり:条件付きで手術
意識清明:降圧薬、脳保護剤、浸透圧調整
sBP < 180 mmHg, dBP < 130 mmHg
 
NIHSS(NIH stroke score)
運動失調
小脳障害(最多)
感覚性運動障害(親指探し試験)
前庭神経障害(めまい)
 
症例問題
歩行中突然めまい、吐き気を感じた。
臥床で改善したが、1時間後起き上がると再び症状が生じた。
答え
 
8歳M
3ヶ月前、歩行時にふらつきあり。
1ヶ月前からよろけて倒れるようになった。頭痛(+)、嘔気(+)、日中傾眠。注視方向性眼振
小脳虫部があやしい…
答え
 
47歳M
突然頻回嘔吐。回転性めまい。声がかすれてしゃべりにくい。
左上肢が自由に使えず、歩行バランスがとれなかった。左耳が聞こえにくい。
左顔面全体の痛覚が鈍い。
筋力低下(-)
答え
 
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咳嗽(担当YM)

主訴:咳嗽
33F
7日前 体熱感
5日前 咳嗽
OTC(イブプロフェン)、のど飴、氷枕で様子見しつつ出勤
症状は徐々に悪化
本日 改善せず外来受診
 
鑑別診断
細菌性肺炎
非定型肺炎
抗酸菌性肺炎
結核
喘息
かぜ
気管支拡張症
過敏性肺臓炎
間質性肺炎
ANCA関連肺炎
肺梗塞
AIDS
 
ROS
(+)痰少量、睡眠不足、頭痛、悪寒、嗄声
(-)異常尿、呼吸困難、腹部症状、関節痛、吐気、嘔吐、妊娠、髄膜刺激症状、皮膚症状
 
既往歴:扁桃腺摘出
家族歴:(-)
タバコ:20本*4年(28-31)、酒:飲まない
母と二人暮らし、菜食主義
周囲に同様な症状はない
事務職、電車通勤
海外渡航(-)
温泉(-)
アレルギー:食物(-)、薬物(-)
ペット:猫
 
意識清明
BT 38.9度 PR 93bpm BP 99/62mmHg RR <20/min SpO2 95%(Room Air)
リンパ節腫脹(-)
咽頭発赤(+)、舌苔(+)
貧血(-)、黄染(-)
心:心雑音(-)、整
肺:左下肺野で軽度減弱
 
胸部X線:左下肺野背側すりガラス陰影、胸水
胸部CT:左下葉に浸潤影
喀痰培養:Geckler 2
 
血液検査
WBC 6400 (Neu 83% lym 14% Mono 1% Eo 1% Ba 1%)
Hg 12.1 g/dl Plt 23.6万/ul
ESR 54 mm/h
TP 6.3 g/dl Alb 3.6 g/dl BUN 5.5 mg/dl Cr 0.51 mg/dl GOT 40 U/l GTP 61 U/l ALP 668 U/l g-GTP 256 U/l CRP 5.97 mg/dl
 
尿
レジオネラAg(-) 肺炎球菌Ag(-)
 
血清
M.pneumonie Ab(-)
C.psittaci Ab(-)
C.pneumonie IgM, IgG(-)
 
非定型肺炎疑い
だが、細菌性肺炎を完全に除外できず、CTRX+AZMで治療開始
 
非定型肺炎を疑う基準
1.年齢60歳未満
2.基礎疾患がない,あるいは,軽微
3.頑固な咳がある
4.胸部聴診上所見が乏しい
5.痰がない,あるいは,迅速診断法で原因菌が証明されない
6.末梢血白血球数が10,000/μL未満である
 
上記6項目を使用した場合;
6項目中4項目以上合致した場合:非定型肺炎疑い
6項目中3項目以下の合致:細菌性肺炎疑い
この場合の非定型肺炎の感度は77.9%,特異度は93.0%
 
上記1から5までの5項目を使用した場合;
5項目中3項目以上合致した場合:非定型肺炎疑い
5項目中2項目以下の合致:細菌性肺炎疑い
この場合の非定型肺炎の感度は83.9%,特異度は87.0%
 
ADROPCURB65
成人市中肺炎診療ガイドラインは簡潔にまとまっていていいと思う。
 
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