全身麻酔時の高濃度酸素

アブストだけ読んだ。
www.ncbi.nlm.nih.gov
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全身麻酔のときに高濃度酸素(80%)にするとSSIが減ったりPONVが減ったりするのでガイドラインでも推奨されているが、実際にメタアナリシスするとそうでもないことが多い、とコメンタリーでも言われている。
高濃度酸素投与のエビデンスはあるようでない、という話はLiSAでも書いてあった。
LiSA 2017年7月号/(MEDSi)株式会社 メディカル・サイエンス・インターナショナル
 
SSIはRR: 0.89 [0.73-1.07] で有意な減少は示せなかった。挿管されている患者ではRR: 0.80 [0.64-0.99] と有意な減少、挿管されていない患者では RR: 1.20 [0.91-1.58] と有意差を示せなかった。
有害性については無気肺 RR 0.91 [0.59-1.42]、心血管障害 RR 0.90 [0.32-2.54]、集中治療室入室 RR 0.93 [0.7-1.12]、死亡 RR 0.49 [0.17-1.37] となった。高濃度酸素は吸収されて肺虚脱を起こしやすい、とか言われる割には無気肺はそんなに生じないらしい。
 
酸素濃度は導入後に適当に酸素:空気を1:1 にしてだいたい55-60% くらいになるのでそれくらいにすることが多い。気分によっては1:2 にしてだいたい45-50% くらいになる。
全身麻酔のときにはどんなに健康なASAPS1 の患者でも30% の酸素濃度は必要らしい、と書いてあったのを見たことがある。

低流量麻酔

低流量麻酔

一般的に酸素濃度は35-40% で維持することが多い。というのも大体の高濃度酸素臨床試験では80% vs 35% が多いようである。
酸素:空気を1:3 くらいにすれば40% を下回るようなのだが、一回この割合でやっていたら「なんでこんな配合なの?」と上司から変な人扱いされたのでそれ以降やっていない。